私の旅8 ベトナム紀行(4)バイクの流れに思う
ハイフォンもハノイも街中は朝から晩まで小型のバイクが実に多数路上を走っている、と言うより流れています。 大体は一人で運転していますが、夫婦か恋人同士か友人同士や親子と思われる二人乗りも多く、中には3人乗りもあります。
自動車や自転車も走っていますが、数の上では圧倒的にバイクが多いのです。
ぶんぶんと走り回る様はあたかも蜂の巣をつついたようです。
この様子はホーチミンなどベトナムの他の都市でも同様と言うことです。
日本人がベトナムに行くと誰でもこのバイクの流れに驚き、圧倒されると思います。
信号のある交差点は少なく、道を渡るには、このバイクの流れを交わしながら渡る必要があるので、若干の勇気が必要です。
そのうちに判ったのですが、渡り方のコツはひとつは「ほぼ一定の速度で歩いてなるべく止まらないこと」とそして「バイクの流れる方向に沿って斜めに横断すること」です。
そのように渡ればどのバイクもこちらの動きを読んで避けて通ってくれます。

バイク同士の間隔は最短では5cm以下にもなるほど接近しながら、動いているのですがお互いにぶつからないのはお互いの動きを読みあいながら、速度や方向を微調整しつつ運転しているためでしょう。
もしバイクを運転しているものの誰か一人でも運転を誤れば、たちまち事故になると思いますが、ほとんどの運転手が実に器用に運転しているのだと思います。
(もっともベトナム全体ではかなり多くの事故は起こっているようです)

現在のハノイやハイフォンの市内の道路の輸送容量は既に満杯に近いと思います。
どこかで交通渋滞が発生するとたちまち身動きが取れない状況になると思います。実際自動車に乗せてもらっていて交差点で身動きが取れなくなったこともあります。どうなるかと思っていたのですが、10分ほどで解消したのは不思議でした。何とかなってしまうものだと妙に感心しました。

それにしてもこれだけの数のバイクがもし自動車に替わったとしたら、交通渋滞が頻発するに違いないとも思います。このバイクの比率でこのぎりぎりの交通状況が保たれているのだと思います。今後もし、自動車が増えていくとどうなるか心配になりました。でもその場合でもベトナム流に何とかしてしまうかも知れません。

ベトナム人にとってバイクとは何なのだろうと考えて、もしかしてそれは「ベトナム農民にとっての牛」と同じような物(生命)なのかも知れない、と思いました。全稿に掲げた牛の絵の中の人と牛の親密な関係のようにバイクと親密にしているのでないか、と思うのです。それでなければあんなに上手く運転できる訳はないと思います。

ハノイの町中にはバイクと自転車の部品ばかりが売られている店が何十件と並んだ一角があります。
バイクを持つ人の多くがこの部品市場で買った部品で自分のバイクを修理したり、気に入るように改造したりして使っているのでないかと思います。あたかも牛の面倒をみるか、のようにです。
by masaaki.nagakura | 2009-03-10 08:57 | 私の旅
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