想うこと4 経済とは何か(19)新時代の飢餓感とビジョン
飢餓感が近代経済の原動力であり、現在特に既開発国において飢餓感の喪失が見られ、それが現在景気減速の背景にある、という話をしました。
飢餓感の喪失というのは、ビジョンの喪失でもあります。ビジョンの喪失というのは進むべき方向を見失うことでもあります。
今、私達が本当には何を欲し、どこへ向かうべきかを掘り下げて考えるべき時に来ていると思います。
先に「幸多く、持続可能な社会の実現」という方向に向かって産業構造の変革がなされることが求められているということ。またそのような社会のキーワードは「省エネルギー、省資源、街路の景観美化、予防医学、芸術、水の浄化、健康、無害な食品、自然保護、メンタルヘルス、教育、リサイクル、クオリティ・オブ・ライフ、防災、平和維持、脱化石燃料、自然河川工法、ビオトープ、安らぎ、癒し、アメニティ、自然エネルギー」等であろうという話をしました。
これらに向けて本格的に経済が向かうには人々のなかにそれに対する明確な飢餓感が沸き起こり、そしてその達成に向けてのビジョンが形成されることが重要です。

しかし、今回の不況は多くの失業者を生み出し、また失業していない者も失業の可能性におびえ、企業も大中小に拘わらず、倒産の脅威にさらされている状況であり、そのような未来へのビジョンを深く考えていく余裕が失われているように思います。

今、もし最も望むものは何か、と問われたときに「安定した職と未来」と応える人は多いのではないでしょうか。
いくら高邁な理想が語られたとしても、明日の生活を心配しなければならない状況に陥れば、遠い未来の理想は単なる蜃気楼と同じものとしか感じられないでしょう。
であるとすれば、現在において先ず考えなければならないのは「いかに安定した経済状況をつくりだすか」という問題でしょう。そして実際現在の各国の政府が、また経済評論家が連日、争論しているのはその問題についてです。

しかし、私はこの目の前の「経済的安定」という課題は「幸多く、持続可能な社会の実現」という課題と同時に考えていくことによって初めて解決の可能性を見出せるものと考えます。
このことを説明するために、まず「経済の不安定性」というものが本当はどこから齎されているものかを一層突っ込んで考えてみたいと思います。
by masaaki.nagakura | 2009-02-17 08:48 | 想うこと
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