想うこと4 経済とは何か(14)グローバリズムの功罪(続き)
これまでのグローバリズムが「エネルギー多消費型の産業構造の世界規模への拡大」を意味したが故に、それが世界中の人々の心中にエネルギー枯渇と地球の温暖化という危機感を強め、それが現在の世界同時不況という警告を発したと考えられます。
もし今後のグローバリズムが「持続可能な産業構の世界規模への拡大」と言う方向に向かうならば、それは世界中の人々の未来への希望を生み出し、世界同時好況につながると期待出来ます。
しかしここで「好況」というのは、これまでの大量生産、大量消費型の産業の伸張と言う形ではなく、GDPの伸びという形でもなく、世界中の多くの人々が幸福感を抱き、且つ未来への希望をもって生活し、勤労出来る状況という意味です。

米国の新大統領のオバマさんは米国が「環境分野におけるリーダーシップを握る」という決意を表明し、70兆円を超える資金の投入を提案しています。
多分この予算は通ると思いますが、それを起点に「持続可能な産業構造の拡大」という新たな形でのグローバリズムが始まれば、それは世界全体にとって望ましいことだと思います。

近代の経済の歴史を振り返ると、地産地消的な封建社会から、国家規模の市場経済へ、更にグローバリズムという形での全世界規模での市場経済に発展してきました。
言ってみれば、ローカリズムから次第にグローバリズムへと変遷してきたと言うことです。
この変遷というのは良いとか悪いとかいうより、人類が長い歴史の中で経なければならないひとつのプロセスであると思います。
ただし、この変遷の中で何が得られ、何が失われてきたかは良く考えてみる必要があると思います。得られたものは「世界全体での情報の共有化」であり、より具体的には「新たな技術、医療、衣食住のありかた等が相互に学び合える状況が生まれたということです。
一方、失われたあるいは失われつつあるものは地域に固有の文化、過去の地域社会の持っていた人と人との強い絆でありましょう。

グローバリズムという方向は今後も進展すると思いますが、同時にローカリズムの良さをも維持し、あるいは復活させることが望ましいです。
今後はグローバリズム化と共にそれとバランスする形でのローカリズム化が同時に進行することによって調和のとれた、住みよく、美しい社会が作られるのだと思うのです。
by masaaki.nagakura | 2009-01-28 22:35 | 想うこと
<< 想うこと4 経済とは何か(15... 想うこと4 経済とは何か(13... >>