想うこと3 経済とは何か(10)日本の産業構造変革への提言
ここでは日本の産業構造変革への向けての私の提言をしたいと思います。
私の提言の骨子は次の3点です。
(1)環境中心主義。
(2)地方分権で環境改革。
(4)エネルギー税で資金調達。

次にこの趣旨について説明します。
(1)環境中心主義
産業革命以来続いてきた産業と生活の変化、発展は終焉を迎えつつあります。
これまで人々の経済的価値の関心は貨幣と交換できる生活物資にが置かれ、その生活物資を効率よく供給するように産業構造を構築してきました。しかし、その結果エネルギー枯渇の危機、地球温暖化をはじめとする環境の危機に直面しています。
そもそも人間生活の幸は生活物資の存在のみによるものでなく、人間の生活を取り巻く環境飲み水や呼吸する大気そして居住する街の景観や住みよさ、自然環境の豊かさに著しく依存しています。
現在までの産業はそれらの環境に眼をつむり、生活物資の量産にいそしんできた。その結果生活物質の豊かさ、余剰が生まれる一方で環境が劣悪となり、それがひいては地域社会の崩壊、精神的荒廃、犯罪の増加すらも生み出しているのです。
この現象は日本のみならず、全世界的な規模で進行しているものであり、そこからの脱却と新たな方向性への出発が求められているでしょう。
すなわち生活物資の豊かさのみに眼を奪われていたところから、環境を含めた大きな視点に眼を広げて産業および生活を創造する、という方向性に変える、ということです。
このような考え方を環境中心主義と呼ぶことにします。
環境中心主義というのは近代社会が産業中心主義、即ち産業の発展に意識を集中させてきたことに対比させるためにいう言葉です。
環境中心主義と言うと「環境だけ良ければいいのか、生活はどうなのだ」という疑問が出されるかも知れません。しかし、この場合の環境と言う意味は人間をとりまく、自然環境のみならず衣食住、教育、医療も含む広い意味で捉えるものとします。
この経済変動の時節にあたり、日本は環境中心主義を宣言し、その方向へむけての最初の大きな一歩を踏み出すことが望まれます。
(2)地方分権で環境改革
環境問題というのは地球温暖化と言うような世界的な規模で発生している問題である、と同時に一方では地域ごとの問題でもあります。地域により自然環境もことなり、また地理的な状況、文化的な伝統なども異なっています。 世界的な規模での問題については国が主導するにしても、地域の環境問題は地域ごとに取り組むのが適切と考えられるのです。
地方自治体がそれぞれの地域の住民や企業などの考えを取り入れつつ、創意、工夫を凝らしてそれぞれの地域での環境改革に取り組むのが良い、ということです。
後述する資金の使用も含めて地方自治体に大幅な権限を持たせて、環境改革を目指した政策を計画、実行することにより、多様な形の新たなプロジェクトが創生され、地方の活性化、雇用の創生、産業構造の変革を導きえるでしょう。
この過程においては、多くの失敗も起こるでしょうが、地方自治体相互に良いところを取り入れあうことで次第に良い形が存続、発展し、やがて日本全体に活気がみなぎるようになると、期待出来ます。
現在の日本は企業の発展の一方で地域社会の結びつきの衰退が著しく、それが多くの人に孤独への不安を与え、社会全体の力を弱めてきています。
この環境改革における地方分権は、再び地域の絆を取り戻し、安心できる生活の場を作り出す機会にもなる、と期待されます。
(3)エネルギー税で資金調達
産業構造改革の資金源としてはエネルギー税の設立を提言します。
これは、電力、ガソリン、石油等の全てに末端のコストの何%かに税をかけるものです。
たとえば電力では日本は年間約1兆KWHの発電量ですが、1KWHあたり2円(約10%)の税としますと2兆円の税となります。電力というのは日本の総エネルギー使用量の40%です。
ガソリンや石油が出力あたりの単価が電力より安いことを考慮しても、全体で年間3兆円程度の税にはなりそうです。
この3兆円のうち、たとえば1兆円を国が省エネルギー技術開発や地球温暖化防止の資金とし、残りの2兆円を地方自治体の環境改革資金とすることが出来ます。
2兆円というのは国民一人あたりでは、約2万円です。たとえば私の住む埼玉県小川町の人口は約3万人であり、年間で、6億円の資金となります。
この資金は毎年継続されるものですので、これを担保に借入も可能になるので、少なくもその10倍の60億円程度は環境改革資金として1時に調達できるでしょう。
以上は話をわかりやすくするために具体的に例をあげてみただけで、実施にあたってはいろいろ考慮しなければならない問題はあるでしょう。
なお、エネルギー税については「国民にたいする新たな負担である」、「日本の製品のコストを上げて国際競争力を弱める」などの問題も指摘されると思います。
しかし、そのようなことを考慮しても、エネルギー税の設定は国民全体にとって有益と考えます。
しれは次の理由によります。
①現在の経済危機の根源に「エネルギー枯渇の危機」が横たわり、エネルギーの消費は減らしていく以外の選択の余地はなく、エネルギー税はその方向性を加速する方向に働く、という意義をもつ。
②本税の利用により、環境立国の方向が進展し、それが産業面においても日本の国際的な立場を強くする。それはエネルギーコストの増大による一時的な競争力の弱体化を補って余りある。
③エネルギー税が国民への負担であっても、その分環境改革が進めば、それは国民にとって恩恵であって、無意味の出費とはならない。
by masaaki.nagakura | 2009-01-12 12:43 | 想うこと
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