想うこと3 経済とは何か(4)幸多く、持続可能な社会は実現できるか
「幸多く、持続可能な社会」は実現できるでしょうか。
またそれを実現するための産業構造がどのようにしたら構築できるでしょうか。
この道筋に関して私はいくつかの考えがあり、それについては後述したいと思います。
しかし、まず言いたいのは人々に「幸多く、持続可能な社会」への願がいが強くある限り、必ず具体的な道が見出されるであろうし、また実現できるであろう、ということです。
私がそのように思うのは「人類の歴史というものが人々の願いによって動かされてきたし、これからもそうであろう」と強く信じているからです。
確かに「つわものどもの夢の後」というように多くの願い、夢が生まれては、消えてきたというのが人類の歴史でもあります。しかし長い眼でみると人類は自らの夢を実現してきたのです。実現される夢というのは、多くの人に願われる夢であるし、また全人類にとっても良い方向の夢です。それ以外の夢というのはやがて費えてしまうのです。
今回の景気失速というのは世界全体を襲ったもので、これは世界全体の人々の意識に変革を引き起こしつつあります。日本の歴史で言えば、黒船が来航したようなものです。言い換えると「景気失速」というのは人類全体にとっての黒船です。
(グローバリズムが進行する中で人類の夢というのは「物質的豊かさの実現」という方向に一極化されつつありました。一方で資源の枯渇や地球温暖化の問題が叫ばれつつも、経済と産業構造の実態はその解決に本格的には向かわず、何かおかしい、という感覚があっても大勢としては「物質的豊かさの実現」に奔走する状況が生まれ、その影で資源の枯渇と地球温暖化の危機の増大を招くのみならず、自然破壊、空気と水の汚染、精神的荒廃を招いてきたのです。
このように現在までに進行してきたグローバリズムのというのはその名に反して人々の心を「物質的豊かさとそれを実現する産業」という方向にのみ向かわせ、大自然や心の豊かさというより大きな世界に対する眼を閉ざしてしまう鎖国といえます。そしてこの「景気失速」はそのような人類の鎖国を解こうとする黒船と言えるでしょう。)
この黒船の到来が人類全体の意識を大きく変革し、それがやがて産業構造の大いなる変革のうねりを作り出していくでしょう。
by masaaki.nagakura | 2009-01-04 12:01 | 想うこと
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