想うこと3 経済とは何か(2)景気の行方
最近の急速な景気の減速の根本原因が資源枯渇や地球温暖化への不安とその不安からの脱出願望にあると考えているという話をしました。
しかし、現状の景気の減速は石油消費に直接関連している自動車業界にとどまらず、機器設備産業、半導体等をはじめとする基幹産業の全てに波及しつつあります。
その波及の範囲は留まるところが見えないという有様です。
これは一体どういうことなのでしょうか。
景気減速のこの様な全体への急速な波及の原因は先ず現代の産業構造が、種々の産業分野が非常に非常に複雑に絡み合っているところにあると言えるでしょう。
例えば自動車の生産量が減少すれば、それに連動してその部品を構成する材料、加工品、半導体等の生産量も減少せざるを得ず、加工に必要な機械の生産も停止させられます。
個々の業界や企業は独立した存在と見做されますが、実際は非常に深く絡み合っています。
更に近年におけるグローバリズムの進展により、世界全体がひとつの経済圏になりつつあります。従って一国のひとつの企業或いは業界の変動が世界全体の経済に何らかの影響を与えていることになります。
未来の方向を予測するためには企業、業界、国家等を独立した存在としてとらえるより、全体としてひつつの生命体であるように捉える見方が有効と思います。
現在の経済、産業構造が資源の枯渇と地球温暖化を招くというのは、その中の特定の業種が招いているということではなく、それが全体としてそのような構造にあるということです。
その全体という中には私達の生活そのものも含まれています。
現在起こっている景気の減速が資源枯渇と地球温暖化への不安とそこからの脱出願望から生じているとすれば、それは現状の経済構造と私達の生活のあり方そのものの変革をもとめているものであって、自動車産業という一業種だけのの変革を求めているものではないのです。
従って、この景気減速の波は全産業にそして私達の消費生活にも波及するはずです。
現実に本日(12月27日)の東京新聞の記事は高島屋の売上が予想を大きく下回ると報道しています。
ではこの景気の減速はいつまで続くのでしょうか。
私は現在の産業構造およびライフスタイルの方向性が変わるまでと見ています。
実際の産業構造およびライフスタイルのあり方が、変化するには非常に時間がかかります。
しかし、方向性というのは相当急激に変化する場合があります。
たとえば近代の日本では明治維新と第二次世界大戦の敗北が大きな方向性の転換の機縁でありました。 明治維新や第二次大戦の敗北と同時に実際の産業構造や生活スタイルが変化したわけではありません。しかしその後は日本の産業構造と生活スタイルは大きな変貌を遂げていきます。
方向性の変化というのは意識の変革です。
今回の景気の減速は、資源の枯渇と地球温暖化をさせない方向、あるいはより一般的な言い方をすると持続可能な社会の実現に向けての人類の決意が固まってきたとき、あるいはその決意が固まってきたという兆候が現れたときに止まると考えます。
私は既にその兆候(持続可能な社会実現へ向けての人類の決意の兆候)が現れつつある、と見ています。
たとえば生活スタイルに関して一つの例をあげます。かってはガソリンを大量に消費する大きくて立派な車に乗ることはステータスシンボルであったと思いますが、今の人たちの多くはそれを格好いいこととは思っていないようです。
ホンダはこの不況の中にあっても省エネルギー車であるハイブリッドカーの開発は加速すると、言うことですが、それはこのような時代の流れを読んでいるからでしょう。
日本では自民党離れが進んでいますが、これは自民党が今までの産業構造および生活スタイルを築いてきた先導役のように見られているからでしょう。
米国では共和党のブッシュさんの人気が急落する一方で次期大統領のオバマさんへの期待が高まっていますが、これも同様のことです。
オバマさんは脱石油や地球温暖化防止にも力を入れるようで、米国民だけでなく、世界中の人の期待が高まってきているのでないかと思います。
(残念ながら日本では麻生さんの人気が落ち込む一方で、小沢さんの人気はそんなに高まってきていません。
これは小沢さんが、オバマさんほど明確な理念を示していないことに原因があるように思います。)
私の感覚ですが、1年後位から景気が回復するような気がします。
これは単なる感じで根拠のあるものではありません。
by masaaki.nagakura | 2008-12-24 08:57 | 想うこと
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