若いあなたに語る自然科学5 エネルギーの話(8)電磁波のエネルギー
電磁波と言うと何を思うでしょうか? ラジオやテレビの信号を送る電波のようなものを思い浮かべるかも知れません。 確かにそれも電磁波です。
電磁波の定義と言うのは
「空間の電場と磁場の変化によって形成された波(波動)のこと」(Wikipedia)
です。
この定義による電磁波と言うのは極めて広い範囲を含みます。周波数(1秒間に振動する回数)の高い方からいくと、ガンマ線、X線、紫外線、可視光、赤外線、遠赤外線、マイクロ波、電波等を含みます。
電磁波というのは波動の1種ではあるのですが、一方で粒子としての性質を持っています。
周波数の低いマイクロ波や電波は波動の性質が強く、現状では粒子として検出することは困難ですが、ガンマ線は放射能検出器を用いて、X線から赤外線までは光電子増倍管と言う検出器を用いて粒子として検出できます。最近は遠赤外線も半導体素子を用いて粒子として観測する技術が発明されているようです。(参照
電磁波を粒子として観るときにはそれを光子と呼びます。
光子は質量はないのですがエネルギーを持っています。
一粒の光子の持つエネルギーはアインシュタインによる式
E=hν
であらわせます。
ここで、hはプランク定数と言われる物理定数、v(ニュー)は電磁波の周波数です。

原子、分子等のエネルギー状態が高い方から低い方に変化するときにそのエネルギー差のエネルギーを持つ光子が発生します。
ガンマ線の発生は主に原子核からで、核エネルギーが高い状態から低い状態に変化する際に放出されます。
X線、紫外線、可視光は主に原子の中の電子のエネルギー準位が高いところから低いところに移る際に放出されます。 人工的には高速の電子を急激に止める或いは曲げることにより発生させます。
赤外線及び遠赤外線は主に分子振動のエネルギーレベルが高い方から低い方に移るときに放出されます。

上のアインシュタインの式から判るように、光子のエネルギーは周波数に比例しています。
電磁波のエネルギーが高いということは周波数が高いということです。
電磁波の速度は真空中では一定(光速)ですので周波数が高いということは波長が短いということです。
ですから上記の順序ガンマ線、X線、紫外線、可視光、赤外線、遠赤外線、マイクロ波、電波 というのは周波数の高い順ですが同時に波長の短い順、光子のエネルギーの高い順と言えます。
エネルギーの高い光子ほど物質に対する貫通力があり、生物のDNAを破壊する場合があります。 ガンマ線、X線、紫外線等が害があるのはこのためです。
by masaaki.nagakura | 2008-10-15 08:59 | 若いあなたに語る自然科学
<< 小川町の人と自然56 飯田神社... 若いあなたに語る自然科学5 エ... >>