オゾンことはじめ7 対流圏のオゾン(6)生命への寄与
私は対流圏のオゾンは3つの点で生命を守っている、と考えています。
その3つというのは、空気浄化、殺菌、活性化です。これ等を順に説明します。
(1)空気浄化
これは、前項でも話したように生命にとって有害なVOC(揮発性有機物)を分解して無害化しているということです。地球上の動植物はその命を終えると腐敗しますが、そのとき多くが悪臭を伴うVOCが発生します。また動物の糞尿からも悪臭を伴うVOCが発生します。オゾンは特に悪臭を伴うVOCと化学反応を起こしやすく、その反応の結果悪臭を伴うVOCは無臭化されます。
(2)殺菌
対流圏のオゾン濃度は通常0~0.1ppmの範囲にあります。このような濃度でも殺菌作用がある、というデータがあります。短時間に殺菌するという訳ではなく、数日かけて徐々に殺菌が進むという具合です。オゾンは特にウイルスに対する殺菌効果は高いです。但し、湿度の低いときには殺菌効果は弱まります。理由は殺菌をしているのが実はオゾンそのものではなくて、オゾンと水が反応して出来るOHラジカルだからだ、と考えています。
インフルエンザが冬の乾燥した時季に流行るのも、その時季にはOHラジカルがオゾンの殺菌効果が弱まっているためではないかという気がしています。
(3)活性化
多くの生命は、暖かくて太陽光の強い時季に活発な生命活動を行います。ところで年間の気温の変化は、太陽光の強さの変化より遅れます。例えば日本で最も暑い時季は7~8月ですが、日照時間の最も長い夏至はそれより2~3カ月早い5月です。一方地上付近のオゾン濃度はは、日照時間の増加に先立って増加する傾向があります。気象庁の観測にはよれば日本の各地の地上付近のオゾン濃度は春分のころに最大なります。オゾン濃度の増大は地球上の生命に春の訪れを前以て告げるホルモンのような働きをしているように思います。即ちオゾン濃度の増大は「もうすぐ春がくるから、活動の準備をしなさい」と、活性化を促す働きをしているのだ、と思います。

by masaaki.nagakura | 2015-02-23 06:26
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