想うこと7 良き未来に向けて(26)提唱4 中央集権と地方分権の調和(つづき2)
 これからは地方分権に移行していくであろうし、また移行することが良いことであるという考えを示し、また地方分権に移行するプロセスについて語りました。
 ところで表題は「中央集権と地方分権の調和」です。
 私が地方分権への移行が望ましいと言っても、国家の権力をゼロにすれば良いということではなく、国家の権力と地方の権力がある調和をもった形にまで移行するのが望ましい、ということです。
 それでは国家と地方におけるどのような権力の分配が好ましいのでしょうか。
 この問題は現時点において明確が答えが出せるものではなく、今後の試行錯誤の上に適切な形を形成していくべきものでしょう。
 地方分権を論ずる場合にこの「国家と地方の権力の分配の在り方」という問題に加えて「この分権にあずかるべき地方自治体というのはどの範囲であるべきか」という問題、更に「地方自治体が多層構造を持つべきか、持つとすればどのような構造が」という問題が発生します。
 これらの点についても今後の試行錯誤がなされて適切な「地方自治体の範囲と構造」 が定まっていくと考えられます。
 ここでは「国家と地方の権力の分配の在り方」について私的で且つ自分自身にとっても暫定的な試論を述べます。
 先ず国家と地方における権力の分配の在り方です。
 私の考え方は次の二つのいずれかいに該当するものを国家権力の範囲とし、それ以外は地方に権力を委ねるべきである、というものです。
(1) 国家でなければ為しえないことに関する権力
(2) 国家でなすことが地方でなすより、より良い結果が期待できることに関する権力

 上記(1)に属することは①憲法の制定、改廃 ②国家間に関わる外交 ③軍事 ④国税 ⑤貨幣の発行 ⑥刑法の制定、改廃 等であり、
 上記(2)に属することは①技術的企画の制定 ②大規模投資の必要な研究・開発 ③交通規則の制定、改廃 ④流通品の安全にかかわる規制 ⑤公害防止法等環境保護上の規制等です。

 教育に関しては国家は小学校、中学校、高校、大学等の在学年数等の事項を決めるのみで殆どを地方の独自のやり方に任せる方が、地方の創造性が発揮され、よりよい形が期待できます。
 医療、福祉、土地利用、都市計画、自然保護政策等についても基本事項を除いて地方の裁量に任せるの良いと思います。過渡的にはそれらに関する現在の国の法律による規制をまったくゼロにするというのでなく、それに従うかあるいは別の規制を地方が作るかを地方自治体の選択に任せるという形で良いでしょう。

 特に税金については、国家は消費税、エネルギー消費に関わる税金、環境汚染防止に関わる税金等の徴収にとどめ、所得税、法人税、酒税等を全て地方自治体の自主的に制定する法に委ねるが、地方分権を実質的なものにしていくのに有意義になると想います。
 この地方自治体に向けられた所得税や法人税ははその地方自治体に住む住民やそこに根拠地を持つ企業のために使われるので税を出す方にも出す甲斐があります。
 そしてその税の使われ方はそこの住民の選出する代表により、決められるので自ずからその地方の居住環境やそれを支える自然環境もより良くする方向に使われると期待されます。
 
 地方自治体の税のかけ方によって、地方毎に人や企業の集まり方も変わってきて特色のある町が形成されるし、地方自治体間の自由競争のような状態が出てくろと想像されます。
 この地方自治体間の自由競争はお互いの良いところを模倣して成長しあう形になっていけば地方にどんどん活力が出て来て、住んでいて楽しい地方自治体が次々と形づくられると期待されます。

 いろいろな考え方の地方自治体が現れるでしょう。
 このことについて想像力を働かせ、その結果がどうなるかをシミュレーションするのは楽しいことのように思いますが、又の機会とします。


 
 
by masaaki.nagakura | 2012-02-05 18:29 | 想うこと
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