想うこと6 福島原子力発電所事故を考える (24)参考資料そして終わりに訴えたいこと
福島原子力事故を考えるとして24回に亘ったこのブログをひとまず終わりにします。
次にこの事故の来し方行く末を考える上でのご参考用として私が制作した文を紹介します。
ご関心があればクリックしてご覧下さい。

「福島第一原子力発電所の事故とは何か」

これは5月29日に小川町のそば道場「楽遊舎」でパワーポイントにて近隣の方達にお話した内容を若干変更し、PDFに変換したものです。ご参考にしていただければ幸いです。

そして以下は現在の時点で特に伝えたいいことです。

 「福島第一原子力発電所の事故の経緯と現状に関する報道も日に日に新たな事実が明るみに出てきますが、まだまだ混迷の様相から抜け出せない状況が続いています。
 私は1971年から1999年まで28年間に亘り、三菱原子力工業と三菱重工業という企業にて原子力に関連した研究開発に携わってきました。
 私の研究開発の分野は主にウラン濃縮、廃棄物処理処分、核融合炉用燃料等であり、直接原子力発電所そのものに関するものではなかったのですが、原子力発電所の安全性に関しては現在よりは大きな信頼感を持っており、このような事態に至るとは思っていなかったのは事実です。
 このことの不明は恥ずべきであると、思っております。
 原子力発電所はその建設と運転維持に非常に多岐に亘る技術を必要としており、個々の技術者が全貌を把握することは極めて困難な課題であります。
 しかしだからと言って28年間この分野の一端で飯を食ってきた以上、この事故に対して全く責任がないということは出来ないと感じております。
 今後の原子力発電のあり方に関しては、まだ自分の中で考えをまとめきれていません。
 しかし、この事故の解決のために自分に出来ることを行うのは責務であろうと思い、また出来ることの一つは『この事故の経緯を追跡し、推定し、その結果を人々に伝えて参考としていただくことである』と覚悟し、このブログに記してきました。
 この事故の経緯に関するこれまでの私の推定はほぼ間違っていなかったと思っております。
 特に危惧したことは[放射性物質を含有する水(放射能汚染水)の増大」でありましたが、不幸にもこの危惧は的中し、ますます深刻な問題になりつつあります。
 「放射性物質を含む水の処理」まさに国家の総力を挙げて取り組むべき課題です。
 フランスのアレバに放射性物質除去プラントを作らせているのはよしとして、日本のメーカーの名が出てこないのはあまりにも情けない話です。
 水中放射性物質除去プラントは少なくも原子力技術の中心的な担い手であった三菱、日立、東芝には並列的に競って作らせるべきです。これはもう金の問題ではなく、国家がこのようなときに権力と金を使わなければ、国家の存在意義が問われなければならないでしょう。またこれらのメーカーも東電や政府の陰に隠れるのではなく、このようなときこそ、積極的に名乗り出てこの重要課題に全力で立ち向かうのが本当です。
 そうしてこそ世界も日本をそして日本の企業を再び見直すことになるでしょう。

 最後に東日本大震災の被災者の方々、福島第一原子力発電所事故の被害を受けた方々の一日も早い復帰とご多幸を祈ってこの論を終えます。
by masaaki.nagakura | 2011-06-06 16:31 | 想うこと
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