省エネルギーの話はかなり間があいてしまいましたが、また続けることにします。
全ての生命はこの世界に存続してくために個体の保持と種の保持のための活動を行ないます。そのためにエネルギーが不可欠で、そのエネルギーを多くの植物は太陽の光から、そして多くの動物は食物からそれを得ます。 ここで食物からエネルギーを得ている動物に話を限って、そのような動物が何ゆえにエネルギーを必要としているのかをもう少し、突っ込んで考えて見ます。 (省エネルギー論の中で動物のことを考えるのは一見無駄のようにも見えるかも知れません。しかし人間は先ず動物であり、人間がエネルギーを必要としている最も原初的な理由は動物がエネルギーを必要とする理由と同じである事を考えれば相当意味のある事です。) まず動物の身体は動かないでも身体内の生理作用により基礎代謝といわれる分のエネルギーを消費します。 この基礎代謝は例えば冬眠する動物などは冬眠中に著しく低下するようですがゼロには出来ません。例えば熊は冬眠中に体重が3分の2程度に減るそうです。だから冬眠状態をずっと続けるわけには行かないのです。人間でも何ヶ月も断食が出来るヨガの行者が居るそうですが、普通はそういうわけには行きません。人間の場合成人男子が平均で1500kcal、女子が1200kcalと言う事です。(wikipediaより) このような基礎代謝の存在が動物がどうしても食物という形のエネルギー源を摂取しなければならない第1の理由です。 通常自然界の動物にとってはそのような食物は動かずして得られるものではなく自らの活動を通じて得なければなりません。したがって動物は基礎代謝に加えてどうしても食物を得る活動のためのエネルギーが必要となるという事になります。 ところで動物は食物の獲得のためだけに活動するのでしょうか? 生存を続けると言う事は食物を摂取するだけで出来るものではなく、自らの生活する環境を維持するためにも活動を必要とします。 自然界の環境は絶え間なく変化します。 特に鳥や哺乳類などの恒温動物は外界の温度(気温)に関わらず体温を一定に保持する身体機能を持つのですが、その機能も限界があり、ある気温の範囲を超えると体温保持が困難になります。 特に雨、風、雪、日光等の作用が加わると困難度は高くなります。 そこで動物は移動をしたり、巣を作ったりと言う活動もすることになります。巣を作ればそれを維持するための活動や清掃なども必要になります。 更に自然界では食物を得るための競争や、居住場所の取り合いなどが出てきて、そのための闘争なども起こり、その活動のためのエネルギーも必要とされます。 以上をまとめると動物が必要とするエネルギーは 以下のようになります。 ① 基礎代謝 ② 食物獲得活動 ③ 環境保持活動(移住、営巣、清掃等) ④ ②③に伴う闘争 これらは個体や群れの存続のために動物が使わざるを得ないエネルギーの使い道を示したものですが、これに加えて種の存続のために生殖の活動が必要で、更に鳥や哺乳類など育児を行なう動物には育児のための活動が加わります。 ⑤ 生殖活動 ⑥ 育児 これらのための活動のエネルギーを人間以外の動物は全て食物(水を含む)から得ています。 したがって、それが得やすいか、否かは個体や種の存続に関わる最重要事です。 食物を得ることが非常に困難な場合にはその獲得のために、多くの活動を必要とし、その為にますます多くのエネルギーを必要とすると言う悪循環に陥ります。そして困難度がある限界を超えると、個体の死に至り、あるいは種の絶滅にいたることになります。 このような死や絶滅のリスクを減らすために冬が寒い地域では多くの動物(昆虫、爬虫類、哺乳類の多く、魚類や鳥類の一部)が冬眠という生活モードを持ち合わせています。 もし、食物の少ない冬に食物獲得の活動を継続すると、上記の悪循環が始まり、死を招く事になりかねませんので冬眠というのは自然がこのような生命に与えた賢い選択肢と言えるでしょう。 鳥や多くの魚は冬眠をしませんが、その場合は渡り鳥や回遊魚のように必ず長距離の移動能力を備えていて、上記のような悪循環に陥らないような場所を求めて移動しています。
by masaaki.nagakura
| 2011-02-13 10:44
| 想うこと
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