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山野草の夢物語 第3話 雲を見上げた野草たち
初夏の清々しい朝です。ヒナギクさんがまだうとうととしながら、朝の太陽の光を浴びてヒナたぼっこをしていると、「なんて理不尽なことなんでしょう。」という悲しげな声が聞こえてきたので、ギクっとしました。
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それはドクダミさんのつぶやきでした。
「私は、ドクダミなんて名で呼ばれているけと、ドク(どこ)がダミ(だめ)なのかしら。お薬にもなるし、お茶にもなるし、天ぷらにすれば美味しく食べてもらえる。きりょうだってそう悪くないと思うの。それなのにドクダミなんて名で呼ばれるのって、理不尽よねー。」
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それを聞いていたチドリソウがドクダミさんをなぐさめます。
「ドクダミさん、あなたにおチドはないよ。リソウを言えば、もう少し良い香りがあれば素敵だけど。でも私は聞いたことがあるのよ。ドクダミというのは毒を矯める(タメル)という意味、つまり毒をなくしてくれると言う意味だって、だからお薬の意味なんだって
それを聞いてドクダミさんも胸をなぜおろしたようです。

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今度はハコベ君が何か悲しげに訴えています。
「人間はみんな僕のことを見てハコベ、ハコベって言うけれど、一体何を運べっていうのさ、僕は植物だし、何かを運ぶなんて出来ないのに」
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それを聞いていたクローバ君が言います。
「ハコベ君、もうそんなクローバなし(苦労話)はしなくてもいいんだよ。僕が良いことを教えてあげよう。
僕はご先祖が江戸時代にヨーロッパから来た。日本ではシロツメクサとも呼ばれている。ご先祖はこの日本でも生きていけるように、この日本の自然のことをいろいろ学んだのさ。学ぶといっても僕たち植物は本が読めないので、風の便りと大地の響きから学ぶのさ。ご先祖代々の知恵が僕たちに伝えられている。ハコベ君についてはもともとはハコベラだって。り、なずな、おぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、すずしろ、これぞななくさ、って言われているなかの ハコベラが君のことだって。」
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それを聞いたハコベ君も自分が春の七草の仲間だと知ってほっとしたのです。ちょっと誇らしげな気分にもなったくらいです。
クローバ君が言います。「僕等のご先祖は日本に来たころはクローバかり(苦労ばかり)していたって。なれない土地だし、仲間はいないしで。君のように春の七草の仲間になんかとても入れてもらえない。でも僕らは豆科で畑の肥料にはなるし、それから何より僕等の葉の中にたまにある四葉のクローバが幸運を呼ぶと言う話が広まってから、皆に愛されるようになって、日本中に広がることが出来た。ところで僕には四葉のクローバはない。それがわかったときはちょっと残念だったけれど、それでもいい、こうやってお日様が当たりながら、雲の姿が変わるのを見ていられればね。」
それを聞いた草花達は一斉に大空を見上げました。

雲は次々と形を変えながら
ゆっくりと大空の中を動いています。
それを見た野草たちは何か幸せな気持ちに包まれました。
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by masaaki.nagakura | 2015-06-14 23:58 | 山野草の夢物語