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想うこと6 福島原子力発電所事故を考える (22)1号機の圧力容器内の水位の変化推定(2011年5月26日記)
福島第一原子力発電所の圧力容器内の水位の変化をいくつかの仮定をおいて計算してみましたら次の図のようになりました。
d0026078_1917363.jpg


赤線は平常時における燃料集合体の上端、黄色線は下端で黒線が水位の変化です。
これによれば燃料集合体の上部の露出は地震のあった3月11日の18時頃です。同日21時ごろまでに燃料集合体の下端が露出、すなわち全体が露出することになります。

この時点で殆どの燃料集合体の被覆管、燃料ペレット、制御棒は溶融し、いわゆるメルトダウンで圧力容器の底部の方に崩落したと考えられます。

その後も水は減り続け、3月12日の明け方4時ごろには水はなくなり、それから圧力容器底部の一部が溶融を始め、やがて孔が開いて、その孔から溶融体が格納容器中に流れ落ちたと考えられます。

東京電力の発表では3月12日午前6時ころから格納容器内の温度が急上昇します。その急上昇は圧力容器に孔が開いた時期と一致すると思われます。上記の計算が妥当とすると、圧力容器内に水がなくなってから2時間程度で孔が開いたことになります。

なお、上記の計算の仮定は以下です。
(1)燃料集合体の発熱量はMITの計算値を採用する。
(2)燃料集合体の発熱の80%が水の蒸発に費やされる。(残りは放熱および溶融のための熱量)
(3)圧力容器内の初期の水位は13m、燃料集合体は上端が水位9m、下端が水位5mの位置にある。
(4)圧力容器の内径は4.8mである。
(5)真水の注入の効果は無視する。(*)
(注*いつの時点でどの程度の真水が注入されたかわからないのでやむを得ず無視します。
なお、初期の炉内の水量は230トン程度で、真水の注入量は全体で80トンといわれます。
その80トンが計算した時間帯に注入されたとしても時間帯がやや遅くなるだけで水が全くなくなる状況は避けられず、従って圧力容器の底部は溶けて孔が開いたであろう、という推定結果には変わりはありません。)
by masaaki.nagakura | 2011-05-26 19:15 | 想うこと
想うこと6 福島原子力発電所事故を考える (21)1号機のメルトダウン(2011年5月22日記)
前回このブログを記してから1か月近くを経過しました。
1号機については水棺の実施中に圧力容器と格納容器に水が溜まらずその原因が圧力容器や格納容器の溶融破損の可能性があると言われてきています。
燃料集合体に関しては地震の翌日の3月12日の6時50分の時点ですでに大半が溶け落ちていた(メルトダウンしていた)ということです。(東電の5月16日の発表)
以下ではその可能性をやや定量的に検討してみます。
私がMIT試算の崩壊熱を根拠に計算した結果では1号機において地震直後から3月12日8時までの崩壊熱の総量は20万KWHr程度で、そのエネルギーで蒸発可能な水量は330トン程度になります。
1号機の圧力容器内の水量は200トン強で、それから注入したと言われる真水80トンを加えても300トン程度であり、その全量が蒸発(空焚き)になってもおかしくはありません。
そして空だきになればジルコニウム-水反応が起こります。(私の計算ではこの反応は燃料集合体が水から露出してから1時間以内に起こります)
また空だきがある程度継続するとがすると燃料の溶融に至ります。
燃料ペレットの材質である2酸化ウランは比熱が約0.22KJ/Kg℃です。 1号機には69トンのウランが装荷されていますがこれは2酸化ウランの量としては78トンです。したがって2酸化ウラン全体の比熱は17,160KJ/℃=4.77KWHr/℃です。(1KWHr=3600kJ です)一方2酸化ウランの融点は2847℃です。仮に1号機の2酸化ウラン全量をを100℃から融点まで上げるとすると13,100KWHr(2747×4.77)程度が必要です。これは地震から3月12日8時まで崩壊熱量20万kWHrの6.6%です。
 実際にメルトダウンする場合には上記の2酸化ウランが融点に至るまでの熱量に2酸化ウランの溶解熱と2酸化ウランだけでなく燃料被覆管と制御棒も溶かすエネルギー等が加わりますが、これも20万KWHrの中に収まりそうです。

つまり、1号機では圧力容器内の燃料集合体と燃料棒の殆ど溶解した可能性があるということです。

空焚きがある程度継続すると圧力容器の底部の一部が溶融し、孔が開くという現象もあり得るでしょう。
特にBWRは圧力容器の下部から制御棒が挿入されていて、その挿入部の1部に穴が開けば、溶融した燃料などはそこから格納容器に落下しても不思議ではありません。

以上は3月12日までに起こった現象に関する推定ですが、その後についてはどうでしょうか。
格納容器へ落下した燃料により格納容器の底部がメルトダウンした可能性はあるでしょうか?
また今後の更なるメルトダウンはあり得るでしょうか。
また再臨界はどうでしょうか。
このことについては改めて検討します。
by masaaki.nagakura | 2011-05-22 11:22 | 想うこと