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想うこと5 省エネルギーへ向けて(10)省エネの生活スタイルにどのように向かうか
産業革命以降の生活スタイルの変遷と産業構造の変革とは表裏一体をなしています。そしてその発展は主にエネルギー使用量の増大を伴った発展です。
したがって「省エネルギー化に向かう」と言う事は「生活スタイルと産業構造の両面においてこれまでの発展の方向とは大幅に異なった方向へ進む」と言う事でもあります。
しかし、現在の生活スタイルと言うのは産業革命以降の近代社会が求め、実現してきたものであり、またそれを善とする社会通念は根強く、多くの個人の意識にも浸透しています。 したがってそれを見直し、別の方向へ進むと言うのは個人にとっても苦痛を伴います。また多くの企業にとっても現在の方向での発展が望ましく、産業構造の変革へ向かわねばならない、という意識は希薄のようです。
今までの(少なくても1900年代までの)中心的な価値観は「人間社会の幸福=生活の豊かさの向上=経済の発展」と言う点におかれてきたように見えます。そういう中で「省エネルギーというのは出来ればそれに越した事はないが経済の発展を損なってまで追求するほどのものではない」という価値観の中では優先順位の低い位置い置かれてきたようです。しかし、時代はそのような思考形態を許さない方向にどんどん進んでいるようです。リーマンショック以降の石油の高騰は一時的であったにしろ、相当激しいものでした。現在中東で民主化の嵐が起こっていますが、それによる石油価格の高騰が始まっています。これは化石燃料というエネルギー源に頼る生活様式が如何に不安定でありえるかと言う事の予兆ともいえるでしょう。 「省エネルギーよりも経済発展を」と言う考え方そのものが、石油価格の高騰を招き、それが経済発展を妨げるという自己矛盾を招いてきています。 
それでは「経済発展よりも省エネルギーを」という考え方に転換すべきでしょうか。ここにひとつの難しい問題が発生します。それは省エネルギーを最優先とう価値観を貫いてゆくとすると、この理想は産業革命以前の生活スタイルに戻れと言う事になりますが、それは可能でしょうか。 少なくも二つの問題が発生します。ひとつは「現在の食料が化石燃料等の人力、畜馬以外のエネルギーに支えられて生産されており、それをやめると世界人口を養うに足りる食料が生産できないであろう」と言う問題であり、もうひとつは「現在の物質文明になれた大多数の人たちが肉体的にまた心理的に産業革命以前の生活スタイルに戻ることは非常な苦痛を強いられる事になるかも知れないと言う事です。 そのようことを考えると現実的には「近代の物質文明にある豊かさを失わないようにしながら省エネルギー化に向かい、やがて持続可能なエネルギー消費状態を実現する」という方向になるかと思います。 
by masaaki.nagakura | 2011-02-17 08:34 | 想うこと
想うこと5 省エネルギーへ向けて(9)家庭と家庭以外でのエネルギー使用量
近代の人間は具体的にはどのようなところでエネルギーを使っているのでしょうか。
特に家庭にはどのくらい使い、その他にどのくらい使っているのでしょうか。
資源エネルギー庁のエネルギー白書2010によるとエネルギーの使用分野を製造、民生、運輸に別け、それぞれ43%、34%、23%程度としてます。ここで民生というのは家庭と業務(事務所など)に別れ、家庭は民生の41%程度で、家庭で使われるエネルギーの全体に対する比率は14%程度です。
 家庭以外でのエネルギー使用量は86%であり、家庭で使用されるものの約6倍となります。 このように考えると家庭ではたいしたエネルギーを使っていないように見えます。しかし実際には家庭以外で使われるエネルギーというのは大部分が家庭の生活のための手段(衣食住)、医療、供給するために費やされているのです。 
省エネルギーという問題はどうも家庭とか産業とかを切り離して考えるわけにはいかないように思います。現在の産業構造と家庭の生活のあり方が総合的に噛み合って成り立っているのが現在の姿です。それゆえ家庭での生活スタイルと産業構造のあり方を同時に双方から見直していく必要があるように思えます。
by masaaki.nagakura | 2011-02-15 22:11 | 想うこと
想うこと5 省エネルギーへ向けて(8)人間のエネルギーの使い方の特徴
前節にて動物は食物を摂取することにより、エネルギーを得てそのエネルギーを次の用途に使うという話をしました。
① 基礎代謝
② 食物獲得活動
③ 環境保持活動(移住、営巣、清掃等)
④ ②③に伴う闘争
⑤ 生殖活動
⑥ 育児

これらはいずれも動物が個と種を保持していくためにどうしても必要なエネルギーの使い道です。

では人間はエネルギーをどのような用途に使うのでしょうか?
人間も動物の1種であり先ずは上記の6つの目的のためにすなわち個と種を保持していく目的でエネルギーを使っています。
原始状態ではそのためのエネルギーを殆ど食物のみから得ていたと言う事は一般の動物と変わらなかったでしょう。 しかし、いわゆる文明の発達と共にエネルギーをエネルギーを食物以外のものからも得て利用するようになってきます。特に産業革命がエネルギー源の中心を食物から石炭、石油に変えます。
因みに日本の一人当たり1年の石油換算エネルギー消費量は4トンです。 石油は1gあたり約10kcalのエネルギーを発生しますので、カロリーであらわすと日本人一人一年で平均4千万kcalのエネルギーを消費しています。1日あたりでは11万kcalです。食物からのエネルギーは成人やや多めで1日2200kcal程度です。ですから食物から摂取するエネルギーの50倍のエネルギーを食物以外から摂取しています。 世界平均では1年で一人当たりの石油換算エネルギー消費量は2トン程度で食物から摂取するエネルギーの25倍を食物以外から得ているという事になります。
このようにエネルギー源が食物以外(石油、石炭、原子力等)に非常に偏ってきている、と言うのが人間のエネルギーの使い方の最大の特徴です。人間がエネルギーを使用する主要な目的は現在であっても他の動物と同様に上記の6つです。それなのにどうしてこのような大量なエネルギーを食物以外から摂取することになってしまっているのか、もっと別の形は無いのか、と言う事をよくよく突っ込んで考えてみる必要があります。
確かに産業革命以前においても人間は薪炭という食物以外のエネルギー源を使ってきています。しかしその使用量は山林が再生できる程度に限られてきています。(もっともそれ以上に使用した場合もあって、その場合は水害の多発や砂漠化という形で自然の懲罰を受けます)
産業革命は石炭の熱エネルギーを動力のエネルギーに変換するという蒸気機関の発明に端を発します。
それによって従来の人間の肉体労働を必要とする仕事が機械に置き換えられてきます。その代わりに食物以外のエネルギーの必要量も増大してきました。それにしてもエネルギーの使用量が50倍とか25倍というのはあまりに効率が悪いのではないでしょうか。ここには何かおかしなカラクリがありそうです。
そのことについて探って見ます。
一例として織物の生産に要するエネルギーについて考えて見ます。 織物はその最も多くが衣服の材料として作られます。 ここで衣服と言うのは体温の維持するために人間が発明したもので、その意味では上記の6つのエネルギー用途の内で③の環境保持活動のツールとして作られるものです。文明が発達してからは装飾的な目的やあるいは身分の表示のような目的も加わって様々な衣服が作られてきました。そのために織物も産業革命以前から様々な種類がいろいろなやり方で作られてきました。人力で織物をつくるというのは大変な労力を伴う作業であり、人類の文明の早期からその労働を軽減するための努力がなされてきたようです。多分機織機と言うのは人類の歴史で最も早く精巧さを求めて発達した機械でしょう。因みに現在一般に使われている機械の機は過去では機織機の意味を示すものであったようです。
産業革命後も機織機は早期に自動化の進められた対象です。
それでは人力で機織がなされた産業革命以前と自動化の進んだ現在とで機織に要するエネルギーはどの様に変わったでしょうか。
実際の機織そのものに要するエネルギーは人力織機でも自動織機でもそれほど変わらないでしょう。もっともここでいう人力織機はかなり精妙に発達した段階のものです。
ここでは一反の織物を織るのに要するエネルギーをQとします。このQと言うのは人力の場合には一反の織物を織り上げるに要する時間×1時間当たりの人力エネルギーです。自動織機の場合は時間×電力です。

しかし実際に一反の織物を織り上げるに必要なのは直接それに要するQのみではないのです。
もちろん織物の原材料を作るエネルギーや織機を作るためのエネルギーも必要ですが、ここでは話をシンプルにするために原材料や織機はすでにあるという状態からスタートして更にどのようなエネルギーが必要かを考えて見ます。
人力の場合は1反織り上げるに必要なのはそのための人力のエネルギーQのみです。
ところが近代の生産施設ではQ以外に多大のエネルギーを必要とします。
先ず織機を動かすための電力は発電所で生産されますが、その生産のために必要なエネルギーは発電効率や発電所内電力、送電での消費を含めると少なくもその3倍すなわち3×Qが必要です。
更に発電所を建設するのに要したエネルギーの一部も入ります。
更に織機工場の温度調節、照明にかかかるエネルギーの一部も加わります。
また、織物の原料を運搬するエネルギー、製品の保管や運搬に係るエネルギーも加わります。そのように観て行くと織物一反を織り上げるのには背後でただ織り上げるためのエネルギーの10倍程度が使われているといってもうなずけます。(厳密な話ではありません) 
また近代では一人当たりの衣料品の消費量が産業革命以前に比して5倍程度にはなっているのではないでしょうか。
以上から考えると織物一つ考えても人力のみでそれを作った過去の時代に比べて50倍程度のエネルギーを使用していると考えてもおかしくないような気がします。

以上は厳密な話ではありませんが、現在のエネルギーの使用量の多さを定性的に理解する話としては意味があると思って記しました。
このような形を一般論で言うと「近代の産業システムの中ではひとつのものの生産にはそのものの生産に直接使用されるエネルギーだけでなく、その生産のための手段および流通のためのエネルギーが加算されてきて結果的に直接生産に要するエネルギーの数倍~十数倍のエネルギーが消費される」と言う事です。
これは近代のエネルギーの使い方のひとつの特徴です。


実際近代は上記の6つのエネルギー用途以外にも多大なエネルギーが消費されているという状況があり、それがエネルギー消費量を増大させている面があります。たとえば旅行、教育、娯楽、通信などです。この中で教育は上記の⑥子育ての発展形として、通信は②~⑥の活動のためのツールとして捉えることは出来るでしょう。旅行というのは娯楽のための場合もあるし、②~⑥のためになされる場合もあるでしょう。娯楽だけは②~⑥のいずれかに当てはめるのは難しそうです。(実際には人間以外の動物も娯楽をするかも知れません。否実際するのでしょう。たとえば子犬のじゃれあいとかです。ただ娯楽のために多くのエネルギーを使うのは一つの人間の特徴かも知れません。)

以上近代における人間のエネルギーの使い方の特徴として次の3つを挙げます。
(1)食物より食物以外のもの(化石燃料、原子力など)から圧倒的に多くのエネルギーを摂取している。
(2)生産に直接使用されるエネルギーより生産手段や流通により多くのエネルギーを使用している。
(3)娯楽など個と種の保持に必ずしも必要と考えられないものの為にも多大なエネルギーを消費する。
by masaaki.nagakura | 2011-02-13 14:03 | 想うこと
想うこと5 省エネルギーへ向けて(7)何故動物はエネルギーを必要とするか
省エネルギーの話はかなり間があいてしまいましたが、また続けることにします。
全ての生命はこの世界に存続してくために個体の保持と種の保持のための活動を行ないます。そのためにエネルギーが不可欠で、そのエネルギーを多くの植物は太陽の光から、そして多くの動物は食物からそれを得ます。
ここで食物からエネルギーを得ている動物に話を限って、そのような動物が何ゆえにエネルギーを必要としているのかをもう少し、突っ込んで考えて見ます。 
(省エネルギー論の中で動物のことを考えるのは一見無駄のようにも見えるかも知れません。しかし人間は先ず動物であり、人間がエネルギーを必要としている最も原初的な理由は動物がエネルギーを必要とする理由と同じである事を考えれば相当意味のある事です。)
まず動物の身体は動かないでも身体内の生理作用により基礎代謝といわれる分のエネルギーを消費します。 この基礎代謝は例えば冬眠する動物などは冬眠中に著しく低下するようですがゼロには出来ません。例えば熊は冬眠中に体重が3分の2程度に減るそうです。だから冬眠状態をずっと続けるわけには行かないのです。人間でも何ヶ月も断食が出来るヨガの行者が居るそうですが、普通はそういうわけには行きません。人間の場合成人男子が平均で1500kcal、女子が1200kcalと言う事です。(wikipediaより)
このような基礎代謝の存在が動物がどうしても食物という形のエネルギー源を摂取しなければならない第1の理由です。 通常自然界の動物にとってはそのような食物は動かずして得られるものではなく自らの活動を通じて得なければなりません。したがって動物は基礎代謝に加えてどうしても食物を得る活動のためのエネルギーが必要となるという事になります。 
ところで動物は食物の獲得のためだけに活動するのでしょうか? 生存を続けると言う事は食物を摂取するだけで出来るものではなく、自らの生活する環境を維持するためにも活動を必要とします。 自然界の環境は絶え間なく変化します。 特に鳥や哺乳類などの恒温動物は外界の温度(気温)に関わらず体温を一定に保持する身体機能を持つのですが、その機能も限界があり、ある気温の範囲を超えると体温保持が困難になります。 特に雨、風、雪、日光等の作用が加わると困難度は高くなります。 そこで動物は移動をしたり、巣を作ったりと言う活動もすることになります。巣を作ればそれを維持するための活動や清掃なども必要になります。
更に自然界では食物を得るための競争や、居住場所の取り合いなどが出てきて、そのための闘争なども起こり、その活動のためのエネルギーも必要とされます。 以上をまとめると動物が必要とするエネルギーは
以下のようになります。
① 基礎代謝
② 食物獲得活動
③ 環境保持活動(移住、営巣、清掃等)
④ ②③に伴う闘争

これらは個体や群れの存続のために動物が使わざるを得ないエネルギーの使い道を示したものですが、これに加えて種の存続のために生殖の活動が必要で、更に鳥や哺乳類など育児を行なう動物には育児のための活動が加わります。
⑤ 生殖活動
⑥ 育児

これらのための活動のエネルギーを人間以外の動物は全て食物(水を含む)から得ています。
したがって、それが得やすいか、否かは個体や種の存続に関わる最重要事です。
食物を得ることが非常に困難な場合にはその獲得のために、多くの活動を必要とし、その為にますます多くのエネルギーを必要とすると言う悪循環に陥ります。そして困難度がある限界を超えると、個体の死に至り、あるいは種の絶滅にいたることになります。
このような死や絶滅のリスクを減らすために冬が寒い地域では多くの動物(昆虫、爬虫類、哺乳類の多く、魚類や鳥類の一部)が冬眠という生活モードを持ち合わせています。 もし、食物の少ない冬に食物獲得の活動を継続すると、上記の悪循環が始まり、死を招く事になりかねませんので冬眠というのは自然がこのような生命に与えた賢い選択肢と言えるでしょう。 鳥や多くの魚は冬眠をしませんが、その場合は渡り鳥や回遊魚のように必ず長距離の移動能力を備えていて、上記のような悪循環に陥らないような場所を求めて移動しています。
by masaaki.nagakura | 2011-02-13 10:44 | 想うこと