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若いあなたに語る自然科学4 水の話(21)まとめ
科学が発達したといわれる今日でも水は神秘な存在です。
水の流転、分子構造、超臨界水、美味しい水などについて話をしてきましたが、それらのテーマのどれをとってもまだまだ判らないことだらけと言うのが実態と思います。
しかし、この判らないことだらけだということが判る、と言うことが自然科学を学ぶ上で極めて重要なことだと思います。
判らないから、神秘的で、神秘的だからその秘密を探ろうとする、ということであなたの自然に対する深い認識が生まれてくると思います。
ニュートンは晩年に次のように言ったということです。
「私が、世間からどのような目で見られているか分からないが、私は、海岸で美しい貝やなめらかな小石を捜し求めてあちこちさまよっている少年と同じであり、私の目の前には、未知の真理をたたえた大洋が横たわっているのである。」
自然法則というものの存在をはじめて明らかにした人の言葉として、何と謙虚な言葉でしょうか。
ニュートンの心の中には常に自然を神秘なものとして感じている感覚が深く、強くあったと思うのです。
一時期「近代の科学技術は自然を征服しつつある」と言われた時代があったと思います。
これは全くの人間の思い上がりという他はないでしょう。
このような感覚は産業革命とその後に続いた技術革新が我々の生活に物質面で驚くような変化(進歩?)を齎したことに幻惑されて生じてきたもので何の根拠もない感覚です。
このような感覚の延長線上には自然の汚染、エネルギーの枯渇と地球温暖化とそして人類の滅亡しか待っていないでしょう。

私達はこのような傲慢な感覚に陥らず、自然の神秘を自らの内に感覚し、自然と私達の関りを深く考え直すことから次の時代を作っていく足がかりをみつけていきたいものです。

水は私達の生活や生命そのものに深く関係した自然の存在です。この大自然の贈り物に感謝しつつ水のことを時折考えてみてください。
この水の話の最初の詩を再掲してひとまず水の話を終わりにします。

小川があるので大河が出来ます。
大河があるので、海はいつでも水に満ちています。
海が水に満ちているので雲が出来ます。
雲ができるので雨が降ります。
雨が大地を潤して野菜や果物や麦や米が育ちます。
そうしてあなたはこの水と大地からの贈り物を食べるのです。
ですから、あなたの中に小川のせせらぎがあります。
あなたの中に豊かな大河の流れがあります。
海の怒涛と潮騒があります。
大空を漂う雲があります。
しとしとと大地を潤す雨があります。
あなたの存在はこの天地を巡る水の存在と極めて近いものです。
by masaaki.nagakura | 2008-08-29 08:57 | 若いあなたに語る自然科学
若いあなたに語る自然科学4 水の話(20)美味しい水 その4 水和
今まで美味しい水の付いて話してきたことにその他一般に言われていることを加えると美味しい水の条件として次が挙げられます。

(1)ミネラルを適度に溶解していること
(2)溶解している陰イオンの種類が適度の構成であること
(3)有機物を殆ど含まないこと
(4)カルキを殆ど含まないこと
(5)鉄、マンガン、銅、亜鉛など金属溶解物を過剰にふくまないこと
(6)硫化水素、アンモニアなど腐敗臭を含まないこと
(7)PHが中性に近い(PH7付近)こと


上記は全て水の成分についての条件です。 
しかし、これだけが美味しい水の条件かと言うとどうもそうではないような気がしています。
水の成分が同じでも処理のしかたで水が美味しくなったり不味くなったりすることは実際あるのでないかと思います。

たとえば松下さんはNMRと言う分析手法を用いて「水の成分が同じでも水に変化が起こっている」と言う測定結果を得ました。
松下さんはこのことから「水のクラスターが小さいほど美味しい」と言う考え方を導き出しました。 
私は前に話しましたようにこの考え方には疑問が有ると思っています。
しかし水に何らかの変化が起こっているのは事実ではないかと思うのです。
私はこのことに「水和」と言う現象が深く関係しているのでないかと考えています。

「水和」と言うのは簡単に言うと水と水への溶解物が馴染むということです。
水の分子と水の溶解物質の間には電気的力が働きあっています。
溶解物質の分子を取り巻く水の分子(複数)は溶解物質の分子にたいして様々な配置を取りえるのですが、エネルギー的に安定した配置があって、そのような配置がとられた状態が「水和」が進んだ状態と言えるでしょう。

これはあくまでも仮説ですが、「水和が進むことにより水は美味しくなる」という可能性があると考えています。

何故そのように考えるかを説明します。
(1)水和が進むことによって溶解物質は水中に均質に分散し、溶解物質同士がくっつきあって存在するようなことがなくなる。
(2)水和が進むことによって溶解物質の分子が水の分子にしっかりと包まれた状態になる。
(3)上記(1)(2)のことから水和が進むことによって味を悪くしている多くの溶解物質の分子も水の中の全体に分散し、かつひとつひとつの分子が多数の水の分子に包まれた状態になる。
その結果、飲用した際に味を悪くしている溶解物質は舌の味覚受容体(味覚の刺激を神経系に伝達する細胞)に直接刺激を与える機会が減少する。
(4)更に水中の臭い成分も水和が進むことにより水の分子に強く束縛され、水中から空気中に移行する機会が減少し、結果として飲用した際に臭いを感じにくくなる。

要約すると「水和が進むことで不味い成分、臭い成分が味覚や嗅覚に感じにくくなり、その結果水が美味しくなる」と言うことです。
by masaaki.nagakura | 2008-08-27 13:09 | 若いあなたに語る自然科学
若いあなたに語る自然科学4 水の話(19)美味しい水 その3有機物
前掲の小平市の浄水場の水の成分の中に有機物が含まれています。これらは水道水として検査が義務つけられている成分です。
実際の水にはこれ以外にも非常に多種の有機物が微量に含まれているでしょう。
特に日本の水道の水の原水は河川水である場合が多く、河川水には生命活動から生み出される非常に多種の有機物が含まれていると考えられるからです。
味に明確に関係している有機物は臭いのある有機物です。
水道水の中にある臭いのある有機物でよく問題となるのはカビ臭です。
日本では水道水の浄水にオゾンを使っているところが増えてきていますが、この主なる目的は臭いを消すことにあります。
特に日本で最初に(1973年)オゾン処理を導入したのは琵琶湖から取水している尼崎市の神埼浄水場でそれはカビ臭を消すのが目的でした。
このカビ臭というのは琵琶湖の放線菌や藍藻類が出すジオスミンやジメチルイソボルネオールという物質と考えられています。
カビ臭以外の有機物も味に相当関係していると考えられます。
概して有機物は水の味を悪くさせる方向に働くと思われます。
つまり美味しい水の条件の一つに「有機物を殆ど含まない」と言うことがあると思います。
ペットボトルで販売されている水は殆どが雪解け水や深層から汲みあげた地下水で有機物を
殆ど含んでいないと考えられます。
by masaaki.nagakura | 2008-08-26 08:56 | 若いあなたに語る自然科学
若いあなたに語る自然科学4 水の話(18)美味しい水その2 イオン
美味しい水とクラスターの大きさの関係は疑問ですが、美味しい水や不味い水があるのは事実です。その美味しさ、不味さの要因のひとつはイオンです。
水道水もしく井戸水に溶けている成分は非常に多く極く微量なもの(通常の検出感度以下)を含めると地層に存在する殆どの成分が溶けていると言ってよいでしょう。
試みに東京都の小平市の上水南浄水場出口での2008年3月の水質検査データを見ますと次のものが検出されています。
①砒素及びその化合物(0.003mg/L)
②硝酸態窒素(2.2mg/L)
③フッ素及びその化合物(0.08mg/L)
④ホウ素及びその化合物(0.02mg/L)
⑤四塩化炭素(0.0001mg/L)
⑥1,4ジオキサン(0.0004mg/L)
⑦1,1ジクロロエチレン(0.0002mg/L)
⑧シス-1,2-ジクロロエチレン(0.0005mg/L)
⑨テトラクロロエチレン(0.0007mg/L)
⑩トリクロロエチレン(0.016mg/L)
⑪アルミニウム及びその化合物(0.01mg/L)
⑫塩化物イオン(12.6mg/L)
⑬カルシウム、マグネシウム等(75.5mg/L)
⑭有機物(全有機炭素の量)(0.5mg/L)
⑮ウラン及びその化合物(0.0003mg/L)
⑯遊離炭酸(1.9mg/L)
⑰ナトリウム及びその化合物(10mg/L)
⑱蒸発残留物(140mg/L)

上記で⑤~⑩及び⑭は有機化合物ですがそれ以外は無機化合物でそれは殆どがイオンの形で水に溶けています。 特に値が高いのは⑬カルシウム、マグネシウム等です。これはいわゆるミネラルと呼ばれるもので少ないのが軟水、多いのが硬水で日本の水道の基準では300mg/L以上が硬水とされています。このミネラルがある範囲にないと水は不味くなり、特に硬水になると下痢をする可能性が出てきます。
日本の水はミネラルが大体100mg/L程度でこれは丁度いい範囲のようです。
ヨーロッパの水道水は主に地下水で、それが石灰岩の層に何百年も滞留して地上に出てきたものであるためにミネラルが(飲料水としては)過剰に溶けて硬水になると言われています。

水中ではミネラルやナトリウムがプラスイオンになっていますが、必ずそれと同じ数だけのマイナスイオンが水中にあって電気的にバランスがとれた状態になっています。それが炭酸イオン(CO3-)硝酸イオン(NO3-)、硫酸イオン(SO4---)、燐酸イオン(PO4---),フッ素イオン(F-),塩素イオン(Cl-)等の陰イオンです。
これらの陰イオンは水道水の水質検査では正確に検査はされていませんがこれらも味に関係することは確かなようです。
因みに灘の酒をつくる宮水は貝殻を含む地層から湧き出ていてミネラルと燐酸を適度に含んでいると言われています。

以上は水中のイオンが味に関係するだろうと言う話ですが、どのようなイオン組成が美味しいかについてはあまり判っていないのではないかと思います。
by masaaki.nagakura | 2008-08-25 08:57 | 若いあなたに語る自然科学
若いあなたに語る自然科学4 水の話(17)美味しい水 その1 水のクラスター
昨日仕事(オゾン)の関係で新潟は魚沼市の新潟乾物㈱をたづねました。
この会社は山菜のゼンマイやワラビの干したものを湯水で戻してそれを袋詰めして市場に出しています。
ゼンマイやワラビを扱うための水については大変気を配っておられ、特に袋詰めするときの水はある種の天然石の入れたタンクを通したものを使っておりました。
そのタンクをとおした水を飲ましてもらいましたが、確かにまろやかな味です。
その設備を設置した業者さんの話では「クラスターの細かい水」が出来るということだそうです。
そして専務の松原さんに「水のクラスターというのは何なのでしょうか?」と言う質問を受けました。
この「水のクラスター」というのは私には少し懐かしい思いのする言葉です。
というのは私の十数年くらい前から「美味しい水つくり」に非常に関心を持っていて、特にその当時「水のクラスター」というのがセンセーショナルな話題となっていたからです。
このような質問を受けたのでこの「水の話」に美味しい水の話を加えようと思います。
最初は水のクラスターの話です。
水は水素結合をするという話をしました。水の水素結合というのは水分子の中の水素が隣の水分子の中の酸素の電子(水素と結合していない電子)と電気的に引き合って出来る結合ですが、水分子の正4面体型構造からひとつの分子について最大で4つの水素結合を持つことが出来ます。4つの水素結合を持つ分子のイメージ図を再掲します。
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実際の水の分子は平均では2つ程度の水素結合をしているようです。

水のクラスターときうのは一言では「相互に水素結合をしている水分子の集団」と言えるでしょう。
例えば次のような水のクラスターが考えられます。
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「水のクラスターが小さい方が美味しい水になる」と言う話は元日本電子の松下さんが20年近く前に出した論文でそのようなことを発表したのが始まりではないかと思います。
松下さんはNMR(核磁気共鳴法)という手法で水の状態を観察し、美味しい水はクラスターが小さいと推定しました。
このことをきっかけにしばらく水の微細構造と味との関係について多くの人が研究して論文も多くだされたように思います。しかし、結果として水のクラスターの大きさと味の関係が科学的に妥当性があると認められるには到らず、議論もやがて下火になってしまいました。
私自身もこの水のクラスターの考え方は極めて疑問があると思います。
上にはもっともらしく水のクラスターの図を掲げましたが、よくよく考えると「水のクラスター」と言うべきものが存在するかが疑問になります。
水は上に述べたように水素結合を最大で4つ持つことが出来ます、また水素結合をする相手を1psec(ピコセカント=1兆分の1秒)ごとに替えていると言われています。
もしクラスターと言うものがあったとしても、そのクラスターの表面にある水の分子はそのクラスターの隣のクラスターの水の分子とも隣接しているので、たちまちその隣のクラスターの水の分子とも結合し、結果としてクラスターという独立した集団を維持できなくなると考えられます。
液体の水はひとつの巨大分子と言われるように全体がひとつの分子のように繋がっていて、粒(クラスター)のようなものは存在しない、と考えるほうが妥当なように思います。
by masaaki.nagakura | 2008-08-21 13:00 | 若いあなたに語る自然科学
若いあなたに語る自然科学4 水の話(16)超臨界水の反応性は何故高い
超臨界水の中では次のように水からOHラジカルが作られます。
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このOHラジカルは極めて反応性が高く、炭素や有機物と激しく反応(酸化反応)します。
これが超臨界水が反応性が高い理由のひとつと考えられています。
何故超臨界水の中でOHラジカルが生成しやすいのでしょうか。
超臨界水は高温のために水の分子が高速で運動し、お互いに激しく衝突しています。
そうすると水の分子の中には飛びぬけて高いエネルギーを得るものが出てきて、それが上の図のようにH(水素原子)を放出してOHラジカルになると考えられます。
by masaaki.nagakura | 2008-08-20 08:57 | 若いあなたに語る自然科学
若いあなたに語る自然科学4 水の話(15)超臨界水より水素生成
超臨界水の中に炭素或いは有機物を入れると炭素あるいは有機物が水の中の酸素と結合して酸化しますが、そうすると水素が出てきます。その水素を取り除いてやらないと酸化反応は止まってしまいます。そこで私が考えたのは水素透過膜で超臨界水で被覆しとけば水素が外に出てきて超臨界水の内部では酸化反応が進行するだろうと言うことです。次はそのアイデアを説明するものです。炭素と水を混合して超臨界状態にしてそこから水素透過膜により水素を取り出し、二酸化炭素を超臨界水より取り出すということを表しています。
水素透過膜としては例えばパラジウム膜があります。
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ここから取り出された水素は二酸化炭素も有害物質も出さないクリーンエネルギーとして自動車に利用できます。同時に超臨界水部分からは熱エネルギーが取り出せるので発電に利用出来ます。
燃料としては通常なら硫黄酸化物を大量に出すような泥炭などを使用しても、外部に硫黄酸化物やその他の環境汚染物質を出すことはありません。

二酸化炭素はやはり出てくるのですが、高濃度の二酸化炭素であり、火力発電の場合のように大量の排気に混合した二酸化炭素に比べて処理は容易だと思います。例えば液化炭酸ガスとして濃縮貯蔵する、深層海流に溶解させるなどの方法が使えるかも知れません。

以上はまだ夢物語のような話ですが、地球の未来を真剣に考えると、既に人類がこのような技術にも果敢に挑戦していくべき時が来ているのでないかと思います。
by masaaki.nagakura | 2008-08-19 08:57 | 若いあなたに語る自然科学
若いあなたに語る自然科学4 水の話(14)超臨界水発電
超臨界水の物性値は普通の気体や液体と大幅に異なるものでなく、むしろ気体と液体の中間程度である、と言う話をしましたが、化学的に普通の液体や気体の水に比べて非常に活性になるという大きな特徴を持っています。

超臨界水の中では殆どの有機物は激しく酸化分解します。
この性質は発電に利用できます。

超臨界水発電は温度が非常に高いので発電効率を高められること、有機物ならゴミでも木材でも石炭でも塩素などを含む有害有機物でも燃やすことが出来、しかも有害物質を放出しないと言う、極めてエコロジカルを備えています。

現在は超臨界利用の開発は工業分野で進められていますが、将来は地域別或いは家庭用の超臨界水発電機や自動車用の超臨界水エンジンなどが出来るかも知れません。
by masaaki.nagakura | 2008-08-15 14:59 | 若いあなたに語る自然科学
若いあなたに語る自然科学 4 水の話 (13)超臨界水とその物理的性質
水は温度と圧力により固体、気体、液体、超臨界と状態が変わります。
次は温度を横軸に、圧力を縦軸にとって気体、液体、超臨界水の状態がどの温度、圧力の領域で現れるかを示す図です。(このような図を状態図と呼びます)
温度が374℃以上、圧力が22MPa以上で超臨界という状態となります。
この温度374℃を水の臨界温度、圧力22MPa(218気圧)を水の臨界圧力と呼んでいます。
(図が不鮮明でしたら図を左クリックすることでもしくは右クリックの後「画像を表示」を左クリックするとやや鮮明な図が見れると思います。以降の図についても同様です)
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臨界温度(374℃)以下であると気体の水は圧力を上げていけば液体になり、逆に液体の水は圧力を下げていけば気体になります。その変化の際に物性値(物理的性質を示す量で密度、粘度、比熱、熱伝導度など)は不連続的に(飛躍的に)変化します。例えば密度は気体が液体になるときに大幅に大きくなります。(この様な状態の不連続的な変化は一般に相変化と呼ばれます)また臨界圧力(22MPa)以下では気体の水は温度を下げていくと液体の水になり、液体の水は温度を上げていくと気体の水になります。
このことを図を用いてやや詳しく説明します。
次の図は超臨界以下の温度圧力領域での水の気液平衡蒸気圧曲線(気体と液体が同一の容器に閉じ込められて一定の温度条件におかれたときに到達する圧力)です。
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水はこの気液平衡蒸気圧曲線の上では液体、下では気体となっています。
一般に水の温度、圧力を変化させてこの平衡蒸気圧曲線を通過すると、その曲線上で液体から、気体へ或いは気体から液体への変化が起こります。その時に物性値が不連続的に変化すると言うことです。

一方臨界温度373℃以上であると気体の水の圧力をいくら上げていっても物性値は連続的に変化するだけで気体の水が液体の水になるときのような顕著な変化はないのです。
また臨界圧力以上であると温度をいくら上げていっても物性値の不連続的な変化は起こりません。
一般に上の図1で気体もしくは液体としている温度、圧力領域から温度、圧力を変化させて超臨界水領域と示してある温度、圧力の境界に持っていっても、その境界上で物性値は連続的に変化します。
このことは超臨界水と言われる状態と言うものが、明確に気体や液体と区別される特別な状態ではないことを意味しています。ですから上の図で1超臨界水領域としたのも人間が便宜的に決めただけと言えます。
下の参考資料に示す物性値を見ても超臨界水が気体の水や液体の水とそれほど大幅に異なるものはなく、概して言えば気体と液体の中間的な物性値をとっています。
ただし、臨界点付近では熱伝導率や定圧比熱が非常に高くなっています。
この性質は或いは何か、例えば高効率の熱交換器をつくることなどに利用できるかもしれません。

[参考]水の物性値
 水の物性値は国際水・水蒸気性質協会(略称IAPWS)の実用国際状態式1997(略称IF97)によるものから著者が計算して整理したもので、水と超臨界水の性質を考えるための参考として特に臨界点の付近の値を詳しく記載しました。
横軸は温度で縦軸に物性値が示されていますが、圧力は臨界温度以下では気液平衡圧力、臨界温度以上では臨界圧力として物性値を算定したものです。

       物性値     図番号      物性値の意味   
(1)気液平衡圧力  図-2(本文中):気体と液体が共存する圧力
(2)密度  図-3: 水の単位体積あたりの重量
(3)熱伝導率図-4: 熱の伝えやすさの単位
(4)エンタルピー   図-5: その温度、圧力にするために必要な熱エネルギー
(5)音速  図-6: 音の速度
(6)定圧比熱図-7: 圧力が一定の条件で温度を1℃上昇させるのに必要なエネルギー
(7)表面張力図-8: 液体の表面の分子同士が引き合う力
(8)プラントル数図-9: 熱力学で重要な無次元量の一種
(9)イオン積       図-10:HO-とH+イオンの濃度の積

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by masaaki.nagakura | 2008-08-13 08:58 | 若いあなたに語る自然科学
小川町の人と自然55 太陽電池パネルつくり
7月19日に小川町の小川高等学校でNPOふうどの桜井さんによる太陽電池パネル組立ての講習会があり参加しました。
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太陽電池は小さなセルを直列につないでつくります。
先ずはペースト状のハンダをセルに塗ります。
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次に銅線(錫メッキ)をハンダ付けします。
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このようにして出来た銅線の付いたセルをハンダでつなげていきます。
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繋がったセルの裏側と表側です。
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繋がったセルを更に複数並べてつなげて、シートにはさみます。
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ラミネータに入れて真空状態にして加熱しセルをシート内に封じ込めます。
これはセルの防水のためです。
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太陽電池パネルの出来上がりです。
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太陽電池のセル1個で0.5V、2Aで1W、セル34枚を繋げて17V、34Wの太陽電池パネルです。 
なお、この講習会は地球温暖化の防止をテーマに本年5月から毎月小川高等学校の主催で開かれる一般向け講習会シリーズの7月分として開催されたものです。
by masaaki.nagakura | 2008-08-06 08:59 | 小川町の人と自然