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若いあなたに語る自然科学3 葉の中の宇宙(9)終わりに:あなたと葉
これまでの話であなたの身体とあなたの前にある葉はいろいろ似たところがあって、またあなたと深いつながりを持っていることが判っていただけたでしょうか。

あなたの体内には血管があって、血液が巡っていますが、葉の中には葉脈があって養分が運ばれています。
葉には気孔があって、呼吸や蒸散をしていますが、あなたの皮膚は皮膚呼吸をし汗腺で蒸散してます。
葉の中の葉緑素の分子構造はあなたの血液の中のヘモグロビンの分子構造と良く似ています。
葉緑素ではブドウ糖が作られていますが、あなたの体内ではブドウ糖が消費されています。
あなたは空気中の酸素を消費して二酸化炭素を出しますが、葉は二酸化炭素を吸収して酸素を出します。
葉は太陽を浴びて光合成を行い、ブドウ糖をつくり更にそれを澱粉にして蓄えますが、あなたは澱粉を摂取してブドウ糖に替えて、身体を動かします。
このようにしてあなたは太陽のエネルギーを葉を介していただいています。

あなたの身体と葉とはこのように似ていて、このように繋がっています。
一枚の葉を見て、触って、香りを嗅いで、その葉との繋がりに想いを馳せてください。

以上で葉の中の宇宙の話を終えます。
by masaaki.nagakura | 2008-04-25 13:01 | 若いあなたに語る自然科学
若いあなたに語る自然科学3 一枚の葉の中の宇宙(8)葉の中のエントロピー
エントロピーという言葉を聴いたことがあると思います。
エントロピーというのは熱力学に関連した状態量(その物が置かれた温度、圧力など環境により決まる物理量)ですが、感覚的には「無秩序さの程度」と言えます。
エントロピーが大きいとは無秩序さの度合いが大きいことになります。
逆にエントロピーが小さいとは秩序があることを意味します。
外部から孤立した(外部と相互作用を持たない)体系のエントロピーというのは増大する方向にしか進まないというのが熱力学の第二法則と言われるものです。
またエントロピーを減少させるためには外部からエネルギーを与える必要があります。
この法則を感覚的に理解するために例えばあなたの使っている部屋のことを考えて見ましょう。
時々掃除したり整理整頓をしないと、どんどん散らかり乱雑になっていくと思います。
即ち無秩序の方向に進みます。そしてそれをまた秩序ある状態に戻そうとすれば何かの働きかけをしなければならない。即ち外部からエネルギーを与える必要があるのです。
自然界にもこれと同じようなことがあり、それが熱力学の第二法則(エントロピーの増大の法則)です。
葉にもエントロピーがあります。
葉を含め全ての生命体は極めて高い秩序のもとで活動していますが、その秩序はその活動に伴って崩れていく傾向があります。即ちエントロピーが増大します。そこでそのエントロピーを一定のレベルに保持するために大きな労力がはらわれています。
葉は光合成以外に呼吸(酸素を吸い、二酸化炭素を吐く)を行いまた根から吸い込んだ水分を蒸散をしています。
呼吸はエントロピーを維持するためにエネルギーが必要だからと考えられます。
水の蒸散の主な目的は葉の温度が上がり過ぎないよう葉を冷却するためと考えられます。
一般に温度が高くなるとエントロピーも高くなります。したがって蒸散による葉の冷却というのもエントロピーを一定に保持する働きのひとつとして捉えられます。
by masaaki.nagakura | 2008-04-23 13:00 | 若いあなたに語る自然科学
若いあなたに語る自然科学3 一枚の葉の中の宇宙(7)エネルギーは流転する
「万物は流転する」とはギリシャの哲学者のヘラクレイトスが言った言葉といわれています。
でも今までの話でもお分かりのように「エネルギーも流転する」のです。
太陽の中で核融合反応により熱エネルギーが生まれ、それが光のエネルギーになり、それが一枚の葉に到達すると光のエネルギーが化学エネルギーに替えられています。そして葉で作られた化学エネルギーはその植物の中に流れてその植物を育み、それをやがて人間や他の動物達が食べて活力の元になる、或いはその他の様々の形の運命をたどっています。
これらのエネルギーはやがては全て熱エネルギーになります。そしてその殆どは赤外線のエネルギーとなって宇宙に放出されます。
エネルギーは太陽の核融合から出発し、赤外線となって宇宙のかなたに去っていきます。
これは水が空から雨となって地上に降り、野山や田畑を潤し、やがて海に注ぐのに似ています。
ただ違うのは、水は循環するけれど、エネルギーは循環しないということです。
つまりエネルギーは元の形には戻りません。
天から与えられた水を、海に流す前に飲料に用い、田畑に用いて大切に使います。
太陽から与えられたそして永遠に宇宙のかなたに去っていくエネルギーはなおさら大切に使いたいものです。
一枚の葉を見たときこのエネルギーの流れに思いを馳せてください。
by masaaki.nagakura | 2008-04-19 17:32 | 若いあなたに語る自然科学
若いあなたに語る自然科学3一枚の葉の中の宇宙(6)葉の化学エネルギーはどこへ行く
次に葉の中に生まれた化学エネルギーがどこへ行くかを考えてみたいと思います。
光合成によってブドウ糖が出来るという話をしました。
化学エネルギーは先ずこのブドウ糖の中に蓄えられるのです。
光合成によりブドウ糖が作られる反応にこの化学エネルギーの増分を加えてあらわすと次の式になります。

6CO2(二酸化炭素) + 6H2O(水) +673kcal→ C6H12O6 (ブドウ糖)+ 6O2(酸素)

ここで673kcalというのはブドウ糖1mol(180g)を生成するの必要なエネルギーです。

植物は光合成で作ったブドウ糖は一部はそのまま果実の中などに蓄えられますが、殆どはブドウ糖のままでとどまらないで、そこからでんぷんとなり、或いは根から吸い上げた栄養分を加えて油分やアミノ酸やセルローズを作ります。
どうしてこのようにいろいろなものを作るかと言うと植物にとってそれぞれが必要だからです。
でんぷんは穀物やイモ類に多く含まれますが、これはエネルギーを蓄えるにブドウ糖より好ましい形です。というのはブドウ糖は果実のように水溶液で保持する必要がありますがでんぷんは固形で高密度で保持出来、しかも必要に応じて速やかにブドウ糖に戻して使うことが出来ます。油分はでんぷん以上にコンパクトにエネルギーを蓄えられます。セルローズは植物の形を保持するために不可欠です。アミノ酸は酵素(生体内の化学反応を進める触媒)とか抗体(免疫作用を発現させている源)という生命に不可欠なものの材料として必要です。

植物が光合成で得た化学エネルギーはこのようにいろいろな形態で植物の中に蓄えられていきます。

この化学エネルギーはそこからいろいろな道筋をたどっていきます。

山火事に遭うあるいは燃料として燃やされて一酸化炭素と水に戻るのもあります。
腐食して微生物に分解されるのも有ります。
人間や獣や昆虫に食されて、その身体を構成し更にその運動を支えるエネルギー源ともなります。
地中に堆積し、石炭となり、やがて掘り出されて火力発電所で電力のエネルギーになるものもあります。

人間が植物を食べるとその中の糖分や澱粉はブドウ糖に替えられて酸素と共に血液中に溶けて体内を巡り、筋肉、脳その他の器官にエネルギーを供給しています。
このときに各器官で起こる反応は非常に複雑ですが結果をまとめると次の式になります。

C6H12O6 (ブドウ糖)+ 6O2(酸素)→ 6CO2 (二酸化炭素)+ 6H2O(水) +673kcal

これは丁度上に記した植物の葉の中で起こっている反応と逆の反応でブドウ糖が酸素と化合して1mol(180g)あたり673kcalのエネルギーを放出することを意味しています。

このように葉の中の光合成で二酸化炭素と水を使って得た化学エネルギーが人間とその他の動物の身体の活動のために使われ、再び炭酸ガスと水に戻るというサイクルが繰り返されています。
by masaaki.nagakura | 2008-04-19 15:13 | 若いあなたに語る自然科学
若いあなたに語る自然科学3 一枚の葉の中の宇宙(5)光はどこから生まれる
葉緑素は光のエネルギーを化学エネルギーに替えていますが、この光というのはどこからくるのでしょうか?
言うまでもなく太陽から来ますね。

ではこの太陽から来る光はどのようにうまれているのでしょうか?
それは太陽が非常に高温で熱エネルギーを持ち、その熱エネルギーから光が生まれているのです。
高温のものが光を出すのは日常生活で経験していますね。
例えば、電気ストーブ、白熱電灯などですね。
太陽が光を出すのも、これと同じです。

では高温になると光が出るのは何故でしょうか。
これは主に電子の働きによるものです。
電子はマイナスの電気を持っていてプラスの電気を持つ原子核と引き合いながら原子や分子或いは結晶を構成しています。その中で電子はそれぞれに電気的な位置のエネルギーを持っています。
重力による位置のエネルギーは地上から高い程、大きいのですが、電子の位置のエネルギーはプラスの電気を持つ原子核から遠く離れるほど大きい(高い)のです。

光というのは電子が位置のエネルギーの高い状態から低い状態に移るときに電子から放出されます。

物が高温になるということはその物を構成する電子や原子や分子の運動が激しくなると言うことですが、それらの運動が激しくなると電子が位置のエネルギーの高い状態にたたきあげられて、その高い状態から低い状態に戻るときに光が放出されます。

ところで太陽が高温になるエネルギーの元は太陽の中で起こっている核融合反応から生まれています。
この核融合反応というのは陽子(プロトン)がいろいろな反応を経てヘリウムの原子核に替わる反応です。
陽子というのは最も軽い元素である水素の原子核ですがそれが4個集まって2番目に重い元素であるヘリウムの原子核となります。こヘリウムの原子核の重さと言うのは陽子重さの4倍より少し軽いのですが、その分がアインシュタインのE=mC2という式nしたがってエネルギーに替わっています。
太陽の中の電子や原子核はこの核融合反応による運動エネルギーを得て高速になり、太陽全体が高温に加熱されます。
そしてそこから光が放出されます。

光には波長というものがあります。
波長を横軸にして光の強度を縦軸にとったものを光のスペクトルと言います。
太陽のスペクトルはこんな分布です。
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太陽のスペクトルはにも現れています。
高温のものから放出される光はいろいろな波長の光が切れ目なく混じったものでこのような光のスペクトルを連続スペクトルと呼びます。
同じ連続スペクトルでも高温のものは波長の高い紫色の方にピーク(一番強度の高い波長の場所)が出ます。温度の低いものは赤い方にピークが出ます。このピークの位置によって温度が推定できます。

光は放電でも出ます。放電で出される光のスペクトルは線スペクトルと言って、ある波長(複数)のところで強く出て、まったく光の出ない波長の場所もあります。
オーロラは放電現象なので線スペクトルの光を出します。
オーロラはその高度によって違う色の光を出しますが、それは高度によって大気の組成が異なるためです。
 さて葉の話に戻ります。
 葉の中の葉緑体は太陽の光で地上に到達する成分の中の緑色を吸収しないので緑色に見えるのですが、
 赤い光と青い光を吸収して光合成に利用しています。
by masaaki.nagakura | 2008-04-16 08:14 | 若いあなたに語る自然科学
若いあなたに語る自然科学3 一枚の葉の中の宇宙(4) エネルギーとは何
葉の中の葉緑素が光のエネルギーを化学エネルギーに変えているという話をしました。
ではエネルギーと言うのは一体どのようなものなのでしょうか?

先ず動いているものは運動エネルギーを持っています。これは直感的にも理解しやすいと思います。そこで現在運動していなくても運動エネルギーに替えられるものは全てエネルギーを持つといわれます。先ず地球上のものは位置のエネルギーと言うのを持ちます。高いところにあるものは落とすと運動し、運動エネルギーを持ちます。その代わり位置のエネルギーを失うのです。
水力発電所は水の位置のエネルギー水の運動エネルギーに替えて、その水の運動エネルギーを発電機のタービンの運動エネルギーに替えて、更に電気のエネルギーに替えます。

次に熱エネルギーと言うのがあります。
熱エネルギーは石油、石炭、薪などを燃焼させて取り出せます。
これは石油、石炭、薪などの化学エネルギーを熱エネルギーに替えているわけです。
熱エネルギーは更に蒸気機関や火力発電所で運動エネルギーや電気のエネルギーに替えられます。

このようにエネルギーは次々と形を変えていきます。
形は変わりますが、その全体量は一定です。
これは質量保存の法則と並んで、エネルギー保存の法則と言われるものです。
実際にはアインシュタインがE=mC2(Eはエネルギー、mは質量、Cは光の速度)というように物質とネンルギーが相互に変換できるということを発見ていて、エネルギー保存の法則は厳密には成り立ちません。このような質量のエネルギーの転換は太陽のような恒星では実際に顕著に起こっています。 ただし通常地球ではこの質量の変化量は著しく小さく、質量保存の法則とエネルギー保存の法則は近似的に成り立っています。
by masaaki.nagakura | 2008-04-11 12:37 | 若いあなたに語る自然科学
若いあなたに語る自然科学3 一枚の葉の中の宇宙(3)光合成の秘密
この一枚の葉の中の葉緑素は地球に最初に出来た葉緑素の子孫です。最初の発生以後地球上に広がり、地球の生命界の歴史を度々変革してきた葉緑素という革命児の直系です。しかし葉緑素だけあってもこれだけの偉業がなされてきたわけではないでしょう。そこに多くの協力者がいて、また地球というものの環境があって初めてなされてきたことです。
先ず光合成というものを調べて見ましょう。
光合成は太陽の光のエネルギーを化学エネルギー(化学結合の中に蓄えられるエネルギー)に変換する作用です。(Wikipedia:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%89%E5%90%88%E6%88%90)
光合成には酸素を発生する酸素発生型光合成と酸素を発生しない酸素非発生型光合成の2種があります。酸素非発生型光合成というのは真性細菌で行われるもので植物の葉で行われるのは酸素発生型光合成です。この光合成はでは水と空気中の二酸化炭素から炭水化物をつくり、酸素を空気中に放出する働きがなされています。
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酸素発生型光合成は葉の細胞の中の葉緑体というフットボールのような形をした器官の中で行われます。この葉緑体は二重の膜で囲まれ、そのなかはストラマと呼ばれています。そのストラマの中で光合成が行われています。
光合成は光化学反応とカルビン回路という二つのステップで行われています。
光化学反応は光のエネルギーを化学エネルギーに変える反応で光を必要とするために明反応と呼ばれます。
カルビン回路はその明反応による得られた化学エネルギーを利用して糖を生成する反応で、光を必要としないという意味で暗反応と呼ばれます。
以下では明反応と暗反応という言葉を使います。
明反応では葉緑素が光のエネルギーを吸収してNADPHとATP(アデノシン三燐酸)という物質を作ります。
暗反応はそのNADPHとATPを利用して二酸化炭素と水から糖を作ります。

暗反応化学反応式
6CO2 + 12H2O → C6H12O6 + 6H2O + 6O2

ここでCは炭素、Oは酸素、Hは水素、CO2は二酸化炭素、H2Oは水です。
そしてC6H12O6はグルコースでブドウ糖とも呼ばれるものです。
次の化学構造をしています。(Widpekiaによる)
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このブドウ糖は人間の体内でも血液の中でエネルギーを運んでいる重要な物質です。
特に人間の脳はブドウ糖なしでは働きません。

ところで、上の暗反応では明反応で作られるNADPHとATPはどのように利用されているのでしょうか。詳しい説明は省きますが、上の式の暗反応は一度に起こるわけではなく、いくつもの反応が順番に起こって、結果的に上の式の反応となります。NADPHとATPはその反応の中間段階で使われて、エネルギーを失いNADP+とADPというものになります。

そしてNADP+とADPは明反応で光のエネルギーを与えられて再びNADPHとATPになります。このようにNADPHとATPはエネルギーの運び手となっていてそれ自身は明反応と暗反応の間を行ったり来たりしています。

これらの反応では酵素と言うものが大変重要な働きをしています。
例えばADPが光のエネルギーを得てATPになる反応ではATP合成酵素という酵素が働いています。酵素は化学反応を促進する働きをしますが、それ自身は変化しません。このような化学反応を促進しそれ自身では変化しない物質は一般に触媒と言われています。
酵素というのは生物の体内で活躍している触媒と言えます。
あなたの体内でもいつもいろいろな酵素が盛んに働いて、身体活動を維持しています。
by masaaki.nagakura | 2008-04-10 09:04 | 若いあなたに語る自然科学
若いあなたに語る自然科学3 一枚の葉の中の宇宙 (2)葉緑素の歴史
葉緑素は太陽のエネルギーを地球上の生命が取り込むための命綱のようなものです。これなしには殆どの植物は生きられませんし、植物を食べている動物も生きられません。
この葉緑素をいうのはどこから来たのでしょうか。太古の地球を訪ねてみます。
葉緑素をもつシアノバクテリア(右の写真:左写真のピアスさんによる)という微生物がいます。
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一般には藍藻と呼ばれて池や水槽にも良く繁殖します。 これは数十億年前に地球に発生し、海の浅瀬にさんご礁のようなコロニーを作って大繁殖し,ストラマライトという化石として現在に残っています。詳しくは次のサイトを参考にして下さい。
(千葉大学地球生命圏科学専攻http://www-es.s.chiba-u.ac.jp/~takeuchi/cyano_j.html)
シアノバクテリアは原核生物という細胞の中に細胞核という構造を持たない生物に分類されるものですが、このシアノバクテリアがある真核生物(細胞の中に細胞核という構造を持つ生物:by Wikipedia:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9C%9F%E6%A0%B8%E7%94%9F%E7%89%A9)の細胞に入り込んで共生をして植物の先祖が出来たといわれています。
そこから藻類が生まれて海中に繁茂します。
次は三重大学の藻類学研究所によるカジメ(昆布のなかま)の写真です。
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つぎは宇宙航空研究機構のホームページからの引用です。
(http://www.eorc.jaxa.jp/imgdata/topics/2004/tp040205.html)
「シアノバクテリアは体内に葉緑素を持っていて、光合成により酸素を発生し、この酸素はまず当時の海水中に大量に含まれていた鉄イオンを酸化するのに使われました。こうして酸化鉄が海底に沈殿し、およそ25~19億年前に大規模な鉄鉱床が世界中で形成されました。世界最大のハマーズリー山脈の鉄鉱床もそのひとつで、そこで採掘された良質の鉄鉱石は鉄道と船で日本に輸出されています。また、シアノバクテリアが発生した酸素はやや遅れて大気中に出ていき、 23~19億年前に大気中の酸素濃度が急激に高まって、10億年前には有害な紫外線をさえぎるオゾン層が形成され、6~5億年前(カンブリア紀)の多様な生物の爆発的な発生・進化につながっていきました。 」(以上 宇宙工学研究機構による)
ここで海中で酸素をつくったのはシアノバクテリアだけでなく藻類も大いに活躍していると思います。
ともかく葉緑素というのは私達に食物を与えてくれる源と言うだけでなく、酸素やオゾン層までも齎せてくれた源だということです。
なお、オゾン層というのは地球の空気中の酸素に太陽の紫外線が当って出来るものです。酸素が薄い場合には上空に十分なオゾン層が形成されず、紫外線が地上に到達し生命は海中では住めても地上には住めないのです。
このオゾン層がカンブリア紀に出来ると生命が地上に上陸をはじめ、やがて大森林が形成され、それが現在の石炭の元にもなっています。
こうしてみると葉緑素は我々の食べるもの、吸う大気、使う石炭や石油のエネルギー、鉄鋼石までの元となる凄いものだということになります。
by masaaki.nagakura | 2008-04-07 08:33 | 若いあなたに語る自然科学
若いあなたに語る自然科学3 一枚の葉の中の宇宙(1)葉の緑
一枚の葉に宇宙の神秘が潜んでいます。
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一枚の葉を採ってしげしげと眺めてみてください。
葉の形は同じように見えても植物の種による個性があります。特に葉の周辺のぎざぎざはどんなでしょうか?
葉の肌に触ってみてください。毛のあるものですかすべすべのものですか?
柔らかですか、硬いですか?
そして臭いをかいでみてください。独特の香りがあるはずです。
光に透かしてみてください。網の目のようにはりめぐらされた葉脈が見えるでしょうか?
ところで葉の色はどうでしょうか?
今の季節であれば、薄い緑色でしょうか?
あなたは葉緑素という言葉を聴いたことがあると思います。
この緑色は葉緑素の色です。
葉の形、表面、香り、葉脈の形は様々ですが、全ての葉は共通して葉緑素を持っています。
葉緑素はクロロフィルとも呼ばれ次の分子構造を持ちます。
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(何やら突然難しい構造のものが出て来たと驚いたかも知れません。でもこんなものかと芸術作品でも見るような気持ちで見てもらえば結構です。構造を覚える必要もありません。)
クロロフィルは次のポルフィリンというものをもとにつくられています。
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ポルフィリンというのは自分自身を触媒として増殖出来るという不思議な性質を持っていて、「生きている有機化合物」とも言われています。
クロロフィル(葉緑素)と言うのはポルフィリンの真ん中にマグネシウムが入ったものです。面白いのは私やあなたの血液の中で酸素を運ぶ大切な働きをしているヘモグロビンと言うのがクロロフィルと同じような構造を持っていてやはりポルフィリンの真ん中に鉄が入ったいます。クロロフィルは光を吸収するためにマグネシウムが必要で、ヘモグロビンは酸素を運ぶために鉄が必要なのでこのようになっているわけです。
あなたの見ている葉のなかの緑もあなたの身体の中の赤い血(酸化ヘモグロビンの色)もその基になっているものが同じということを思えば、その葉にも親近感が湧いてくるのではないでしょうか。
更にあなたの身体はこの基となっているポルフィリンを作ることが出来ません。ですからあなたも新鮮な野菜を沢山食べて血液にポルフェリンを与えて下さい。
なおこの辺の詳しい話は富山医科薬価大学の田澤賢次先生の話を聞いてください。
http://www.jafra.gr.jp/tazawa.html
by masaaki.nagakura | 2008-04-02 13:00 | 若いあなたに語る自然科学