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オゾンの物語 32 オゾンに対する染色堅ろう度試験
1月17日に財団法人「日本衣料管理協会」の依頼を受けてオゾンに関する講演をしました。
「オゾンいろいろ」と言うタイトルで話をしましたので実際いろいろな話を1時間半くらいでしました。その中で特に近年JIS規格が制定された「オゾンに関する堅ろう度試験」の話をしたのでそれについて紹介します。

オゾンに対する染色堅ろう度試験
1 JIS規格の概要
  2006年に「オゾンに対する染色堅ろう度試験方法」(JISL0890:2006)と言うJIS規格が制定されました。これは国際規格ISO105-G03をJIS規格として見直して制定されたものです。
 このJIS規格は染色した繊維にオゾンを曝露し、染色の堅ろう度を判断するための試験方法を規定したものです。

低湿オゾン試験と高湿オゾン試験の2通りの試験条件が定められています。
(1)低湿オゾン試験条件
 温度30±5℃
 湿度65%以下
 オゾン濃度 4.5±0.5ppm
 試験時間:1サイクル6時間
(2)高湿オゾン試験条件
 温度40±5℃
 湿度85±5%
 オゾン濃度 4.5±0.5ppm
 試験時間:1サイクル4時間

上記のいずれを行うかは「要求される相対湿度条件により選定する」となっています。

2 JIS規格制定の趣旨とISO規格からの変更点
このような制定を行った趣旨を同JISの解説書は次のように述べています。
(1)大気中のオゾン環境の著しい変化に伴い、繊維にとってその影響が見過ごせなくなった。
(2)ISO規格に規定された標準染色布(サンプルとの褪色の比較のため用いられる標準的な染色布)がアレルギー性を持ち生産中止となった。
(3)ISOではオゾン試験濃度が0.1~0.35ppmと低く促進試験として不満足である。(試験時間がかかり過ぎる)

上記の趣旨に基づいてJIS規格はISO規格から主に次の点が変更されています
(1)オゾン標準染色布の染料を無害なものから新たに選定した。
(2) 標準染色布を使用にないで、測色計を用いて等級を判断することも許容することとした。
(3)低湿条件の試験と高湿条件の試験条件を明確にした。
(4)特に試験時間の短縮のためにオゾン濃度を4.5±0.5ppmとISO規格の10倍以上に高めた。

3 試験装置
3.1 装置の系統構成
 このJIS規格による装置の系統構成の1例です。
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無制御で4.5PPM±0.5PPMに保持するのは通常困難ですので、この例ではオゾン濃度制御器を加えておきました。オゾン濃度計は比較的安価な半導体式のセンサーもありますが、 4.5PPM±0.5PPMの精度を出すことは困難と思われます。紫外線式濃度計が高精度です。ただし高価でであるのが難点です。また特に高湿オゾン試験を行う場合にはガスの除湿をしっかりしないと結露して誤差を生じるので注意する必要があります。

3.2 オゾン曝露試験装置の実例
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上の写真はカラー写真用フィルムの品質管理に使われているオゾン曝露試験装置(エコデザイン㈱製OX-5)です。曝露試験槽は温度及び湿度の調節か可能で、オゾン濃度は1-10pmの範囲で任意の値に±0.5PPMの精度でコントロール出来るものです。ただし、左記の装置で使用されているオゾン発生器は無声放電式ですので、「オゾンに対する染色堅ろう度試験」に使用するためにはオゾン発生部を紫外線ランプ式に変える必要があります。



 
by masaaki.nagakura | 2008-01-23 08:59 | オゾンの物語
オゾンの物語 31 歯科医療器具の殺菌
オゾン水生成装置を1年ほど前に購入していただいた茨城県勝田市の中山歯科医院を訪問しました。
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同歯科医院の中山医師はオゾン水を歯科治療器具の殺菌に使っているということです。
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歯科医療器具は最終的にはオートクレーブにて殺菌するのですが、その前段階でオゾン水殺菌をするということです。 
写真の奥がオゾン水生成装置(型式AOD-TH)で手前が超音波洗浄装置です。
医療器具は超音波洗浄装置の中に入れたオゾン水中で超音波洗浄することにより、殺菌しているということです。
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なお、中山医師は歯科医療へのオゾン水の応用も試みられています。

実はオゾンの歯科への応用は相当以前から試みられています。例えば日本では1933年に「オゾンを含有した歯磨き」という特許が出願されています。
最近では虫歯の治療にオゾンガスを用いる方法がテレビで紹介され話題になっているようです。
これからオゾンの歯科医療への実用化がどんどん進むのではないかと期待しております。
by masaaki.nagakura | 2007-11-30 22:58 | オゾンの物語
オゾンの物語 30 オゾン水による歯周症の治療
これからいろいろのオゾンの利用に関する話を紹介したいと思います。
オゾンの利用というのは非常に広範囲に亘りますが、特に私自身が面白いと思っているものから、思いつくままに話をしていきたいと思います。
先ずは私自身が最近自ら実験した歯周症の治療効果の話をします。
日本医療・環境オゾン研究会の事務局長をしておられる摂南大学の中室教授がご自身の体験よりオゾン水を用いてウォーターピックをすると歯周症の大変効果があるようだと、話されたのを聞き自分も実験してみようと思いました。
この実験は小川町のさいとう歯科医院の斉藤医師(写真)と同医院のスタッフの協力を得てすすめました。
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歯周症は歯と歯ぐきの間の歯周ポケットの深さ及び出血箇所の数を測ることでその程度が知れます。
そこで先ずオゾン水・ウォーターピックを始める前にその測定をしてもらいました。
約140箇所を測った結果私の歯周ポケットの深さは1mm-4mmの範囲でありました。出血箇所は何と36箇所もありました。
全く健全な場合は歯周ポケット深さが1-2mm、出血はほとんどないということです私は歯周症進行中ということでしょう。(歯周症がもっと進行すると歯周ポケット深さが6-7mmにも達するといくことです。)
次にオゾン水・ウォータピックを始めて2週間後と4週間後に測ってもらいました。
その結果著しい改善がみられました。
次に歯周ポケット深さの分布の変化を示します。 
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ここみられるように最初(8月2日)でピークが3mmあったのが2週間目(8月16日)には2mmに移り、更に4週間目(8月30日)には1mmの割合が増えています。
この間出血箇所は36箇所であったのが2週間後に16箇所に、4週間後には2箇所と激減しました。
この結果からオゾン水・ウォータピックが歯周症に効果があるのは確かという実感が得られました。 
私が試したオゾン水・ウォータピックの方法というのはオゾン水として電解式オゾン水生成装置(型式AOD-TH2)で生成させた濃度1-2ppmのオゾン水を用い、ウォータピックの装置はオムロンの型式HT-J202を用いて毎日1~3回洗浄したものです。その間、歯磨きはあえてやりませんでした。
ウォータピックというのは細いノズルから水を噴出させて歯や歯ぐきにあてて洗浄するものです。特に今回は歯と歯ぐきの間に水が良く当るように注意しました。
オゾン水は殺菌効果があるため歯と歯ぐきの[間の歯周菌の殺菌に役立ち、それが改善を速めると推定しております。
因みに上記の実験と同時に行った唾液中の虫歯菌(ミュータンス菌とラクトバチルス菌)の測定ではオゾン水・ウォータピックの実施後に虫歯菌の大幅な減少が確認されております。
次は8月2日(実験前)と8月30日(実験後)のラクトバチルス菌の比較です。
私の唾液中のラクトバチルス菌は実験前でも少ない方であったのですが、実験後は更に減少して殆ど検出されていません。
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 歯周菌については検査していませんが、虫歯菌の結果からやはり減少していると推定しています。
 以上のことからオゾン水・ウォーターピックは歯周症の改善に非常に効果的であると考えています。
 ただしオゾン水・ウォータピックが水道水・ウォータピックに比較してどの程度優れたものであるかという点についてはより多くの被験者によるデータが必要でしょう。

[参考]
 次は私の歯周ポケットを斉藤歯科医院にて測定してもらったデータです。
 数値はmmの単位で色のついているところが出血した箇所です。
 表の上でマウスを左クリックすると明瞭に見えると思います。
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by masaaki.nagakura | 2007-11-20 13:05 | オゾンの物語
オゾンの物語 28 オゾンの危険性 2 オゾンによる火災
オゾンは酸化性の非常に強い気体です。
有機物や活性炭とオゾンを反応させると火災を引き起こす可能性があります。
実際にはオゾンで火災が生じたという公式の報告は聞いたことがありません。
以下は私自身が直接聞いた、あるいは自ら体験した例です。
これらの例も実際に火災になったわけではないのですが、その可能性もあったと言う意味で伝えておきます。
1.トルエンの燃焼
実際にある研究所で火災が発生しかけた例があります。
この研究所では、ビーカー内のトルエンを主成分とする液に酸素原料の高濃度オゾンを吹き込んで試験をしていました。 このような試験で、直ちにトルエンが燃えることはないのですが、問題はオゾンを吹き込んでいた管を引き上げたときに起こりました。 管の先に少量のトルエンが残っていた状態で引き上げ、しかもオゾンの発生は続けたままでした。管の先の少量のオゾンがトルエンと反応し、トルエンが高温になり、ビーカー内のトルエンに引火して火災になりかけたのです。
2.木粉の燃焼
木粉に長時間酸素原料のオゾンをあてていたとき、木粉の表面が爆発的に燃焼したことがあります。
3.活性炭の燃焼
活性炭に酸素原料の高濃度オゾンをあてると、反応熱で燃焼することがあります。

本来 物の燃焼というのはその物の温度が上昇し、発火点に到達したときに起こると考えられています。 オゾンを含有した気体による燃焼というのも例外ではないでしょう。
従って、発火点に到達しないような条件でオゾンを用いる限り燃焼は起こらないということです。
現在オゾンが実用されている殆どの分野では全く燃焼の可能性はなく、火災の問題はありません。 
ただ、特に実験などで燃焼しやすい物にオゾンを曝露する場合には注意すべきです。
by masaaki.nagakura | 2007-09-27 13:00 | オゾンの物語
オゾンの物語 27 オゾンの危険性1-3 オゾンによる活性炭の爆発
久々ですが、オゾンの物語を続けます。
オゾンは活性炭により、非常に効率よく除去できます。
これはオゾンが活性炭と化学反応し炭酸ガスとなるためです。
しかし空気原料のオゾンを活性炭により除去し続けると、何かの拍子に活性炭が爆発することがあります。これは空気原料のオゾンに含まれるNOXが活性炭に吸着され、活性炭とNOXが爆発的に反応するためと考えられています。
以前一度数日間活性炭に空気原料オゾンを通し続けて、爆発したことがあります。
相当の爆発で怪我をしないので幸いでした。
その後、活性炭の替わりに竹炭を使ったのですが、それも爆発を起こしました。
ところで、水道局の浄水場で使用されるオゾン発生器の廃オゾンは活性炭で除去されることがあります。これは一度水をくぐったオゾンガスはNOXが水で除去され、NOXを含んでいないために爆発の危険は生じないためです。
従って、活性炭をオゾン除去に使ってよいのは水をくぐらしたオゾンに限ると考えるべきです。
by masaaki.nagakura | 2007-09-21 08:54 | オゾンの物語
オゾンの物語 1-26 
 オゾンの物語の1-26は エコデザイン株式会社のホームページに掲載しました。
 関心のある方はそちらをご覧ください。
by masaaki.nagakura | 2005-05-28 08:40 | オゾンの物語