若いあなたに語る自然科学 4 水の話 (13)超臨界水とその物理的性質
水は温度と圧力により固体、気体、液体、超臨界と状態が変わります。
次は温度を横軸に、圧力を縦軸にとって気体、液体、超臨界水の状態がどの温度、圧力の領域で現れるかを示す図です。(このような図を状態図と呼びます)
温度が374℃以上、圧力が22MPa以上で超臨界という状態となります。
この温度374℃を水の臨界温度、圧力22MPa(218気圧)を水の臨界圧力と呼んでいます。
(図が不鮮明でしたら図を左クリックすることでもしくは右クリックの後「画像を表示」を左クリックするとやや鮮明な図が見れると思います。以降の図についても同様です)
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臨界温度(374℃)以下であると気体の水は圧力を上げていけば液体になり、逆に液体の水は圧力を下げていけば気体になります。その変化の際に物性値(物理的性質を示す量で密度、粘度、比熱、熱伝導度など)は不連続的に(飛躍的に)変化します。例えば密度は気体が液体になるときに大幅に大きくなります。(この様な状態の不連続的な変化は一般に相変化と呼ばれます)また臨界圧力(22MPa)以下では気体の水は温度を下げていくと液体の水になり、液体の水は温度を上げていくと気体の水になります。
このことを図を用いてやや詳しく説明します。
次の図は超臨界以下の温度圧力領域での水の気液平衡蒸気圧曲線(気体と液体が同一の容器に閉じ込められて一定の温度条件におかれたときに到達する圧力)です。
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水はこの気液平衡蒸気圧曲線の上では液体、下では気体となっています。
一般に水の温度、圧力を変化させてこの平衡蒸気圧曲線を通過すると、その曲線上で液体から、気体へ或いは気体から液体への変化が起こります。その時に物性値が不連続的に変化すると言うことです。

一方臨界温度373℃以上であると気体の水の圧力をいくら上げていっても物性値は連続的に変化するだけで気体の水が液体の水になるときのような顕著な変化はないのです。
また臨界圧力以上であると温度をいくら上げていっても物性値の不連続的な変化は起こりません。
一般に上の図1で気体もしくは液体としている温度、圧力領域から温度、圧力を変化させて超臨界水領域と示してある温度、圧力の境界に持っていっても、その境界上で物性値は連続的に変化します。
このことは超臨界水と言われる状態と言うものが、明確に気体や液体と区別される特別な状態ではないことを意味しています。ですから上の図で1超臨界水領域としたのも人間が便宜的に決めただけと言えます。
下の参考資料に示す物性値を見ても超臨界水が気体の水や液体の水とそれほど大幅に異なるものはなく、概して言えば気体と液体の中間的な物性値をとっています。
ただし、臨界点付近では熱伝導率や定圧比熱が非常に高くなっています。
この性質は或いは何か、例えば高効率の熱交換器をつくることなどに利用できるかもしれません。

[参考]水の物性値
 水の物性値は国際水・水蒸気性質協会(略称IAPWS)の実用国際状態式1997(略称IF97)によるものから著者が計算して整理したもので、水と超臨界水の性質を考えるための参考として特に臨界点の付近の値を詳しく記載しました。
横軸は温度で縦軸に物性値が示されていますが、圧力は臨界温度以下では気液平衡圧力、臨界温度以上では臨界圧力として物性値を算定したものです。

       物性値     図番号      物性値の意味   
(1)気液平衡圧力  図-2(本文中):気体と液体が共存する圧力
(2)密度  図-3: 水の単位体積あたりの重量
(3)熱伝導率図-4: 熱の伝えやすさの単位
(4)エンタルピー   図-5: その温度、圧力にするために必要な熱エネルギー
(5)音速  図-6: 音の速度
(6)定圧比熱図-7: 圧力が一定の条件で温度を1℃上昇させるのに必要なエネルギー
(7)表面張力図-8: 液体の表面の分子同士が引き合う力
(8)プラントル数図-9: 熱力学で重要な無次元量の一種
(9)イオン積       図-10:HO-とH+イオンの濃度の積

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by masaaki.nagakura | 2008-08-13 08:58 | 若いあなたに語る自然科学
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