若いあなたに語る自然科学3 一枚の葉の中の宇宙(5)光はどこから生まれる
葉緑素は光のエネルギーを化学エネルギーに替えていますが、この光というのはどこからくるのでしょうか?
言うまでもなく太陽から来ますね。

ではこの太陽から来る光はどのようにうまれているのでしょうか?
それは太陽が非常に高温で熱エネルギーを持ち、その熱エネルギーから光が生まれているのです。
高温のものが光を出すのは日常生活で経験していますね。
例えば、電気ストーブ、白熱電灯などですね。
太陽が光を出すのも、これと同じです。

では高温になると光が出るのは何故でしょうか。
これは主に電子の働きによるものです。
電子はマイナスの電気を持っていてプラスの電気を持つ原子核と引き合いながら原子や分子或いは結晶を構成しています。その中で電子はそれぞれに電気的な位置のエネルギーを持っています。
重力による位置のエネルギーは地上から高い程、大きいのですが、電子の位置のエネルギーはプラスの電気を持つ原子核から遠く離れるほど大きい(高い)のです。

光というのは電子が位置のエネルギーの高い状態から低い状態に移るときに電子から放出されます。

物が高温になるということはその物を構成する電子や原子や分子の運動が激しくなると言うことですが、それらの運動が激しくなると電子が位置のエネルギーの高い状態にたたきあげられて、その高い状態から低い状態に戻るときに光が放出されます。

ところで太陽が高温になるエネルギーの元は太陽の中で起こっている核融合反応から生まれています。
この核融合反応というのは陽子(プロトン)がいろいろな反応を経てヘリウムの原子核に替わる反応です。
陽子というのは最も軽い元素である水素の原子核ですがそれが4個集まって2番目に重い元素であるヘリウムの原子核となります。こヘリウムの原子核の重さと言うのは陽子重さの4倍より少し軽いのですが、その分がアインシュタインのE=mC2という式nしたがってエネルギーに替わっています。
太陽の中の電子や原子核はこの核融合反応による運動エネルギーを得て高速になり、太陽全体が高温に加熱されます。
そしてそこから光が放出されます。

光には波長というものがあります。
波長を横軸にして光の強度を縦軸にとったものを光のスペクトルと言います。
太陽のスペクトルはこんな分布です。
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太陽のスペクトルはにも現れています。
高温のものから放出される光はいろいろな波長の光が切れ目なく混じったものでこのような光のスペクトルを連続スペクトルと呼びます。
同じ連続スペクトルでも高温のものは波長の高い紫色の方にピーク(一番強度の高い波長の場所)が出ます。温度の低いものは赤い方にピークが出ます。このピークの位置によって温度が推定できます。

光は放電でも出ます。放電で出される光のスペクトルは線スペクトルと言って、ある波長(複数)のところで強く出て、まったく光の出ない波長の場所もあります。
オーロラは放電現象なので線スペクトルの光を出します。
オーロラはその高度によって違う色の光を出しますが、それは高度によって大気の組成が異なるためです。
 さて葉の話に戻ります。
 葉の中の葉緑体は太陽の光で地上に到達する成分の中の緑色を吸収しないので緑色に見えるのですが、
 赤い光と青い光を吸収して光合成に利用しています。
by masaaki.nagakura | 2008-04-16 08:14 | 若いあなたに語る自然科学
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