火光天の歴史をたどる(3)火光天の歴史のまとめ
飯田神社に祭られている火光天の起源とまつわる歴史をたづねてきましたが、ここまでの話しをまとめてみます。

(1)火光天は仏教に取り入れられたインドの神々、十二天の内、より広くは火天と呼ばれる神と同一の神である。(秋葉山の十二天の中に火光天があることから推定)
(2)火天はインドではアグニと呼ばれる古代からの神である。
(3)古代インドのバラモン教においてはインドラ(雷神)、アグニ(火の神)、ヴァルナ(水の神)などの自然界の神(以下自然神)が強い信仰を集めていた。
(4)紀元後になり、ヒンドゥー教において、それぞれ宇宙の創造、維持、破壊を司るブラフマー、ビシュヌ、シヴァ等の神への信仰が強まると共に、アグニを含む自然神への信仰は弱まり、古代の神たちは脇役とされていく。
(5)大乗仏教においても自然神は仏教を守護する神などになって、自然神への信仰は弱められる。
(6)ここにおいて古代のアグニの持っていた力(生命力、浄化力など火の持つ原初的なイメージからくる力*)はアグニから引き離され、ヒンドゥー教においては主にシヴァ神に引き継げられる。
(7)大乗仏教においては特に密教においてアグニの力は五大明王の中に蘇る。

(注*ここで原初的なイメージと言うのは人間の持っている火に対する原始的とも言うべきイメージです。 私たちは薪からの火が燃え上がったり、とろとろと燃えたりするのを観ると、神秘的な生命にふれているような感覚になります。また、心が浄化される感覚にもなります。この感覚は恐らく原始人はや古代人がもっていたのと同じ感覚です。)

ここまで火光天の歴史をたどってきて判ったことは、火光天は古代、あるいは原始時代に起源を持つ古くて強い神火の神アグニだということです。

古代のアグニの力はヒンドゥー教においても、仏教においても弱体化させられるのですが、ヒンドゥーにおいてはシヴァ神に受け継がれ、仏教においては密教の明王の中に蘇ります。

火に対する人間の原初的なイメージは原始時代から現代に至るまでも失われること無く継続していて、その原初的なイメージがアグニを生み出し、またアグニを幾たびも蘇らせていく、ように思うのです。
by masaaki.nagakura | 2015-12-20 12:37 | 小川町の人と自然
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