想うこと8 母なる宇宙に抱かれて(7)戦争の原因 まとめ
戦争にいたらしめる原因として下記(1)(2)(4)の3つのを挙げましたが、もうひとつ戦争にいたる場合に存在するのが共通の敵に対する敵愾心という意識です。それを含めて次の4つが戦争の原因といえます。

(1) 存在感への脅威の感覚
  :自分たちの存続が何かによって脅威にさらされている。
(2) 屈辱感からの開放を求める意識
  :自分たちは屈辱的な状況におかれ、自尊心が傷つけられている。そこから開放され、自尊心を取り戻し、
  存在感を回復したい。
(3) 共通の敵に対する敵愾心
  :上記(1)(2)の原因となっているのは、この敵であり、この敵を倒す、もしくは撃退したい。
(4) 国民全体を巻き込む共感
  :上記の(1)(2)(3)にかかわる想いが国民を次々と共感の渦に巻き込んでいく。
  (これはいわば相互にポジティブフィードバックが働いて生じるなだれ現象のような様相)

「共通の敵」が敵愾心を煽るものであるためには次の感覚が同時的に存在する必要があります。
①その「敵」が自分たちの存在感を脅かしている元凶である。
②その「敵」は自分たちに屈辱感を与えている当事者である。
③その「敵」に向かって協力して立ち向かわない限り未来はない。
④その「敵」に打ち勝つことによって自分たちは、屈辱から開放され、存在感の脅威から脱却できる。

このような感覚が国民の大多数で共感されることによって敵愾心はますます煽りたてられて、戦争への決断がなされます。

なお、上記(1)~(4)の4つは「戦争の原因」というより、「戦争に傾斜していくときに多くの国民の意識に見られる現象」と言う方が適切かも知れません。 しかし、このような意識が国民に発生しなければ、戦争には至らないであろう、という意味では原因と言ってもいいのでしょう。

では戦争をなくすためにはこのような意識の持ち方を変えれば良いのでしょうか?
事はそう単純ではないように思えます。 というのは上記(1)~(4)というのは戦争でなくても人間が共同して何かを成し遂げようとする際に出てくる意識であり、これがあるので人間が大きなパワーが出せるという面があるからです。 このような意識を出させないようにすることが、人間から大きなパワーを結集する力を奪ってしまう可能性があります。

このような人間のパワーを奪わないで、戦争をなくすためには「自分たちの存在を脅かし、屈辱感を与えている真の敵は何なのか」ということについて国民的な規模での、否、国際的な規模での思索がなされて、追求され、共感が成り立ち、それに向けてのパワーが国際的に結集されていくこと」が必要だと思います。
by masaaki.nagakura | 2012-05-16 08:44 | 想うこと
<< 想うこと8 母なる宇宙に抱かれ... 想うこと8 母なる宇宙に抱かれ... >>