想うこと7 良き未来に向けて(19)日本の経済政策への7つの提言
 私はリーマンショックの後に「経済とは何か」というタイトルでブログを記し、その最後に「日本の経済政策への提言」として記しました。 現在読み直してみても同感するので再掲します。日本の未来を考える上で参考にしていただければ幸いです。

 私が言わんとするのは「現在の日本にとって消費物質の豊かさよりも重要な課題があり、これからの経済はその課題の達成に力を入れるべきである」ということ、そして「そのようになすべき課題がある以上、失業者が大勢いる、などということはあってはならないことであり、このような課題に挑戦する中で雇用の確保を図ることが国家の最大の責務である」ということです。

(1)豊かな自然の生態系の復活
 故郷を讃える歌には必ず豊かな自然が織り込まれています。生命に溢れた郷土こそ、愛し、懐かしみ、誇れる場所です。 特に農薬の散布、洗剤を使った水の垂れ流し、そして、三面張りなど生態系への影響を無視した治水工事が日本の農村の生態系を無残に破壊してきました。それが、子供たちから遊び場を奪い、潤い豊かな自然に浸る安らぎを奪い、精神的荒廃の大きな原因となってきたことを直視すべきでしょう。本来日本の国が持っている豊かな生態系の復活はこれからの日本にとって最大の挑戦課題です。
まずは脱農薬農法、洗剤無放出洗浄、自然河川工法などを国家プロジェクトとして取り上げたいものです。
(2)美しい路の創造
 昔の日本の絵画には東海道五十三次など、美しく、市場溢れる路が描かれています。ヨーロッパには現在でも美しい路並みが至る所に残されています。今の日本のどこにそのような路が残されているのか、はなはだ悲しい状況です。
 家の中に如何に立派な家電が並んでいようと、路が美しくなければ、生活環境が良くなったとはいえないでしょう。
 市街地は歩いて楽しく、自動車道路は走って楽しいような路としたいものです。
 それに自転車専用道路があれば省エネルギーも促進します。
 ガードレールは芸術的なものに替え、電線、電話線は地中埋設に替えていきましょう。
(3)持続可能型産業構造の構築
 産業革命以来の環境を顧みず、開発、発展のみを追及した開発型産業構造から、持続可能型産業構造(循環型産業構造)への歴史的な転換期にさしかかっています。
 意欲的、積極的に持続可能型産業構造を追求し、新たなる方向を世界に示すことが日本の歴史的な役割と考えます。
 日本は過去において、化石燃料に全く頼らずに豊かな文化を花開かせてきました。まさに持続可能型文化を実らせたのであります。このような文化を築いていく知恵は日本国民が潜在的に持ち合わせているものであり、今こそそのような知恵を蘇らせ、科学技術と融合させて省エネルギー、省資源にして持続可能且つ豊かさを齎す、産業構造を構築していきましょう。
(4)予防医学の推進
 近代医学の進歩は目覚しく、たとえば過去に不治とされてきた天然痘、結核、ハンセン病等も克服してきました。しかし一方においてエイズ、各種成人病、癌、新型ウイルスなど克服しえてない新たな病も広がってきております。これらの治療のための医療負担はますます膨大なものとなりつつあります。ひとつの病を克服すれば、別の病が出現し、いわばもぐらたたきの様です。これは近代医学が対症療法から始まっていることにひとつの根本原因があると思います。病の治療以前に重要なのは病にならないようにすることです。
 予防医学にこそ国家としての絶大な努力が傾注されるべきです。
(5)辞書の編纂
 現在は情報化社会と言われていますが、一方では種々の情報が氾濫し、何が本当なのか紛らわしいという状況も生まれてきております。また科学技術の進歩を目指そうとしているにも係らず、その情報の多くは専門家でなければ知りえないという実情です。
 国家が多くの専門家を動員して、科学技術、法律、歴史、国語等に関する詳細な情報をも含む辞書を編纂することを提案します。
(6)新教育制度の模索
 現在の日本の教育制度は明治維新において富国、強兵を目的にして欧米の教育システムを模倣して作られたものです。第二次大戦後に見直されたもののその基本は変わっていません。すなわち現在の教育制度は教育というものが何を目標としてなされるべきか、そのためにはどうあったら良いかという基本的は考慮や議論がなされないまま作られ、またそのまま継続されてきたものです。
 これからの教育は国家の統制を最小限とし、多くを地方自治体の創造性に委ねて、さまざまな試みを展開し、そのような試みの中から次第にふさわしい形を見出していくようにしたいものです。
教育というのは根本において次世代に善智識を伝えていくことを目的とするものでしょう。その意味で特に教育を専門の教師だけに任せるというのは根拠の乏しいことであり、社会人も教育の一端を担うという形にしたいものです。
(7)地産地消型食文化の追求
 食の自給率を高めようという政策が提言されていますが、最も良い形は最大限地産地消型の食文化を普及することである、と思います。それにより食の安全も保持されやすく、輸送などのためのエネルギーも節約できます。
 これからの日本にはエネルギーと農薬多消費の大農法は似つかわしくありません。
 こまめに作物の面倒を見る小規模、有機農業が広まり、地産地消型食文化と融合する形が望ましいです。

 以上のような課題を追求し、実現していくためには甚大な労力と叡智が求められます。
 それ不況だ、それ経済対策だ、と大騒ぎするのでなく、このような目的意識をしっかりと共有し、そこに向かって国民のみんなが力を合わせて一歩一歩着実に進んでいこうとすころから、日本の明るい、希望に満ちた将来が開けていくと信じます。
by masaaki.nagakura | 2011-10-29 12:12 | 想うこと
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